セルジオ越後 : FOOTBALL WEEKLY

セルジオ越後

【セルジオ越後コラム】静かに報じられた、サッカー界で最も重要なニュース

 浦和の横断幕問題や、Jリーグに八百長調査が入ったという話題の裏で、極めて重要なニュースが流れてきた。日本サッカー協会が2016年の次回役員改選から、会長や理事を決めるために立候補者を募って選挙制を導入することにした、というものだ。
 
 協会の人事はこれまで、いわゆる“密室”の中で行われてきた。独裁体制を築いた川淵三郎元会長の時代はもちろん、彼が会長職を退いた後もその影響力は絶大で、人事に関しても事実上、一部の関係者の意向で候補が決まっていた。実力や公約などは関係なく、出世コースに乗った人間が、密室の中で当然のように決められた椅子に座る、というのがこれまでだった。

 僕はこれまで散々その公平性、民主性のなさを指摘してきたけど、そのあり方を問題視したFIFAからの要請で、選挙制が導入されることになったという。
 
 サッカー界にはプーチンがいる、なんてよく冗談を言ったものだけど、これまで幾度となく問題提起されながらも、なかなかメスが入ることのなかった、自浄作用のなかったサッカー界の内部に、ついに手が伸びたわけだ。FIFAからの要請を受けて、というのが情けない限りだけど、独裁体制からの脱却、その影響力の低下も見え隠れするね。

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【セルジオ越後コラム】浦和レッズへの処分に思う、これで何の解決になるのか

 8日に行われたJ1第2節の浦和対鳥栖戦で、『JAPANESE ONLY』という横断幕が掲げられた問題に対し、Jリーグが13日に処分を発表した。
 
 内容は、けん責と、23日の清水戦を無観客試合で開催すること。無観客試合はJリーグ史上初めてのことだ。浦和自身も、15日に行われる広島戦以降、リーグ戦、カップ戦、ホーム、アウェーを問わずすべての横断幕、旗類の掲出を禁止したという。
 
 人種差別行為が言語道断であるのは間違いない。僕は日系ブラジル人2世だから、余計によく分かっているつもりだ。差別のない国なんて世の中に存在しないし、動物である人間の本能として、自分の群れ以外に警戒心を示す、新しい血を拒むというのもあるだろう。悲しいがこれは事実だね。
 
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【再掲】セルジオ越後 すべての日本人へ「倒れた人の分まで走るのが、サッカーだ」

東日本大震災から丸3年が経った。3年前、震災発生から一日一日と時間が過ぎていく中、改めて感じる被害の甚大さと、それでも立ち上がらなければならない気持ちとの間で、多くの人が悩み苦しんだ。スポーツにおける自粛を巡る是非もその一端だった。そんな中、当時震災から約1週間後に掲載されたセルジオ越後氏のコラムが大きな反響を呼んだ。3年経った今にも通じる本質がそこにあるので、再掲したい。
 
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日本は今、大変な困難に見舞われている。あまりにもスケールの大きい自然災害であり、戦争以来の大惨事と言ってもいい。被災者の方々が大変な傷を負ったのはもちろん、日本人全体の心に深い傷が刻まれてしまったね。

この悲劇からの復興は、被害にあったその地域だけの宿題ではない。すべての日本人、それだけでなく日本に住むすべての外国人も含めて、みんなが固い結束の下に、全力を傾けなければならないよね。
 
逆境を跳ね返す、困難から立ち直るメンタリティは、世界に誇れる日本の素晴らしい部分だ。阪神大震災も、新潟県中越地震も乗り越えてきた。どの国にも真似のできない日本の文化、精神の強さを、今こそ発揮すべきだ。何年か経って、あの時は大変だったねと、日常の中で振り返れる日が来るよう、僕は心から祈っている。
 
サッカー界も大きな被害を受けた。鹿島アントラーズは無期限での活動休止を決め、Jリーグ再開の目処は立たず、3月に予定されていた代表戦2試合も中止となった。サッカー協会は29日に日本代表とJリーグ選抜によるチャリティマッチを行うことを発表した。
 
僕はこのチャリティマッチ開催に賛成だ。「こんなときにサッカーなんて不謹慎だ」「サッカーをすることが被災者のためになるのか」という声も聞かれるけれど、サッカー人として、そして一人の社会人としての僕の考えをちょっと聞いてほしい。
 
今、日本に何が必要か。被災地への義援金、節電、物資の救援。やらなければならないことは山ほどある。一方で、この国の経済活動をきちんと回すこともしなければならない。
 
経済活動、つまり血の流れを止めてしまうと、本当に日本が沈没してしまうかもしれない。だから、元気な人は、行動するべきだ。それぞれの立場で、どんどん働くべきだ。停電で3時間しか働けないなら、3時間だけでも働けばいいじゃないか。働けない人たちの分まで仕事を増やすのだ。使えない人の分までお金を使うのだ。いっぱい仕事をして、いっぱいお金を生んで、飲みに行って、お金を落として、税金を納めて、どんどん経済を回すべきだと思う。
 
自粛とは、休むことと同意だよ。元気な人が休んだところで、被災者にとって何の役にも立たない。ニュースを見て心を痛めるのは理解できる。でも、ニュースを見て心を痛めることが復興につながるのかな。
 
残念ながら、君がいくら涙を流したところで被災者は救えない。社会活動に貢献することこそが、被災地を助けることになるのだと思う。
 
サッカー人は、サッカーが仕事だ。リーグとしての開催は難しいかもしれないけれど、元気なチームは毎日練習をして、試合をして、試合会場にドラム缶でも置いて義援金を集めればいい。日常を止めちゃいけないよ。がんばってキープした日常の中で、被災地のために何ができるかを考えるべきだ。
 
この国難の最中、サッカーをすることで被災地の方々が本当に元気をもらえるのか、勇気を持てるのか、それは一概には言えない。しかし、被災を免れた元気な僕らが、いつまでも過激なニュース映像を見て悲しんでいるわけにはいかない。そろそろ国民全体の心のケアをしなければいけないときが来ている。サッカーには、傷ついた心をときほぐす力があると信じている。
 
1人負傷者が出たからといって、勝負を諦めるのか? 10人でも勝利を目指して戦い続ける、倒れた人の分まで走るのが、サッカーだ。
 
悲しみを超えて、みんなで立ち上がろう。(了)

2011年3月18日9時40分掲載

【セルジオ越後コラム】NZ戦、唯一はっきりしたのは本田と香川の不調ぶり

改修前の国立競技場での最後の日本代表戦、みんなはどういう感想を持っただろうか。ニュージーランドと戦って4─2。前半早々に4点のリードを奪った時点で試合は決し、その後は弛緩した雰囲気の中で、2失点を喰らうおまけまでつく体たらくで、淡々と時間が過ぎていった。一言で言って残念な試合だった。
  
このマッチメイクは、3年前、東日本大震災の影響で実施できなかったことも踏まえ、日本側から持ちかけたというが、狙ったか狙っていないか、まさにそうした背景にふさわしいチャリティマッチのような試合になったね。
 
W杯イヤーの初戦、限られた国際試合の機会であるはずが、何のテストにもならなかった。長谷部誠や内田篤人がいない影響、山口蛍と青山敏弘の組み合わせ、その他いろいろあるけど、この試合では何も判断しようがない。唯一はっきりしたことと言えば、所属クラブで不調の本田圭佑、そして試合に出ていない香川真司という2大エースと呼ばれる2人の状態が、かなり悪いということだろう。代表戦で復調をアピールしたいはずが、不調さが目立つ結果になってしまった。本田は最後までリトル本田のままだったよ。
 
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【セルジオ越後コラム】変化のない代表発表、W杯メンバーは99%確定

3月5日に行われるニュージーランド戦に向けた日本代表メンバーが発表された。この試合は今年に入って初めての代表戦であり、W杯までに国内で行う試合のうちの1試合だ。貴重な機会であるのは間違いない。

そのはずだが、ニュージーランドはお世辞にも強化に相応しい相手とはいえず、この試合自体も「ありがとう国立競技場」と銘打たれている。改築が決まっている国立競技場での最後の日本代表戦であることを煽るもので、なんというか、W杯に向けたテストマッチというより、興行的なメモリアルマッチの色合いが濃いね。さぞチケットは売れたのだろうが、それでいいのかな。

発表されたメンバー表を見て、またかと思った人も多いだろう。ケガの内田篤人と長谷部誠が外れただけで、まったく代わり映えのしない選出だね。記者会見なんてやらずにFAXでいいよね。サッカーファンの誰もが、スタメンを言い当てることができるんじゃないかな。それはW杯で対戦する相手も同じだと思うのだけど、それでいいのかな。W杯に向けて誰かを試す、あるいは戦術的なオプションを探すといった気概がまったく感じられないね。

先日、ザッケローニ監督は川崎のACL初戦を見に等々力競技場に視察に出かけているけど、果たして何のために行っているのだろうか。昨シーズンのJリーグ得点王のコンディションを見に行った? 何のために? なんだか、視察はただのポーズなんじゃないかと思ってしまうよ。
 
W杯メンバーは、5月27日のキプロス代表戦の前に発表されるだろう。その前の限られた1試合が、このニュージーランド戦だ。今回のメンバー発表を見ると、ザッケローニ監督の中でW杯に連れて行く選手は90%、いや99%確定しているということだ。ケガでもしなければ入れ替わりはない。
 
現地で試合に出ていようがいまいが、帰ってきた海外組がメディアによってもてはやされ、アナウンサーがありがとう国立、さよなら国立を連呼し、歯ごたえのない相手と試合をする。W杯本大会まであと3ヶ月。あと3回くらい国立で試合をしたい気分だよ。
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