『日本人に教えたい戦術的ピリオダイゼーション入門』第3回

『日本人に教えたい戦術的ピリオダイゼーション入門』(東邦出版)には、「トップクラスの指導者やユースアカデミーによる63の練習メニュー」が掲載されている。最終回となる今回は、そのメニューの一つを紹介しよう。今季からマンチェスター・ユナイテッドで指揮をとるモウリーニョの練習メニューだ。なお、今季のイングランド・プレミアリーグにモウリーニョ、グアルディオラはじめ戦術的ピリオダイゼーションの担い手とされる指導者の多くが集合したのはたいへん興味深い。

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ジョゼ・モウリーニョの3対1×4

8-38


準備と進め方
・10×10メートルの正方形4つを作る。
・プレーヤー4人のチーム(青・赤)2つにフリーマン(白)2人を作る。
・それぞれのチームからプレーヤー1人を1つの正方形に入れる。
・フリーマン2人がポゼッション中のプレーヤーと3人で、3対1を形成する。パス5回のあと、プレーするフィールドを変える。

所要時間
・4分×4セット

バリエーション
・難度の引き上げ:長方形を小さくする
・タッチ数の変更
・数回タッチしたら、グリッドを変える

コーチング・ポイント
・戦術:攻守の切り替え、質の高い判断、数的優位なプレー、素早い認識
・技術:ボールコントロール、グラウンダーのパス、タイミングと強さ
・フィットネス:有酸素および無酸素の持久力、プレーリズムの変更
・留意点:集中力、コミュニケーション、積極的な攻撃性、インテンシティ


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VIVA! ROASSO 熊本地震からの歩み 

第2回 「頑張ろう、熊本。ありがとう、長崎。」  文・山雄樹

熊本地震の後、3度目となったロアッソ熊本のホーム・うまかな・よかなスタジアムでのゲームは、「バトルオブ九州」、V・ファーレン長崎とのダービーマッチ。

リーグ戦後半の成績は、このゲームまで4勝1敗とリーグトップ、元来の粘り強さを取り戻した長崎を率いるのは、かつてロアッソの指揮を執った高木琢也監督だ。長崎の監督に就任して4シーズン目。これは横浜FC、東京ヴェルディ、ロアッソ、長崎という監督歴のなかで最長となったが、それまで、もっとも長く監督を務めたのはロアッソでの3シーズンだった。

熊本と長崎の対戦成績は、ここまで熊本の5勝1分1敗、ここ4連勝中、6試合負けなし、ホームでは負けなしの2勝1分という、熊本にとっては「相性が良い」と言える数字が残っている。かつて指導を受けた熊本の選手たちは「勝利こそが恩返しになる」、「プレーで成長したところを見せたい」と強い意気込みで臨んだ。

ロアッソ在籍7シーズン目の最古参となった片山奨典は、「高木さんは、戦う姿勢を教えてくれた監督です。勝負にこだわることや、サッカーの本質を教えてくれました」と語る。

これまでの対戦での熊本側の得点者が、ルーキーイヤーからプロとしての心構えなどの教育を施された仲間隼斗(現・カマタマーレ讃岐)、齊藤和樹(現・ジュビロ磐田)、ヴァンフォーレ甲府から移籍後、持ち前の技術に加え、球際の強さなど、いわゆる「ハードワーク」を叩き込まれた養父雄仁と、高木監督が特に手塩にかけて育てた選手というのも、決して偶然ではないだろう。試合後、高木監督が、冗談交じりに「あいつ、俺が監督をしていた時には、あんなプレーできなかったのに」と悔しがったこともあった。熊本の分の良さには、こうした背景もあるのだ。

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『日本人に教えたい戦術的ピリオダイゼーション入門』第2回

 今月初めに出版された『日本人に教えたい戦術的ピリオダイゼーション入門』(Football Weekly編集部訳)のなかに、日本サッカーのファンには懐かしい顔が登場している。デットマール・クラマーさんだ。
 しかし、クラマーさんの登場にはいささか驚いたというのが本音だった。というのも、本書は最新戦術とトレーニングを紹介している本であり、引用されている監督も現代サッカーを代表するペップ・グアルディオラであり、ジョゼ・モウリーニョであったりするからだ。サッカーの基本を語る時に、クラマーさんのことが引用されているのは、クラマーさんをリアルに知っている世代としては、素直に嬉しかったし、欧州におけるクラマーさんの偉大さを改めて思い知らされた。

 彼の言葉として引用されたのは「『より良いこと』が可能ならば、『良い』は十分ではない」というものだ。さらに上を目指すものにとっては当たり前の言葉だろうが、クラマーさんはそれを適確に表現していた。
 そこで、クラマーさんの生んだ最高傑作といえる、日本を代表するFW釜本邦茂(サッカー協会顧問)さんにクラマーさんのことなどを聞いてみた。

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最高ができるなら、最良ではだめ」というのはよく言われていたね。ベターではだめ、ベストになれって。

 クラマーさんと初めて会ったのは16歳の頃だから、はや半世紀を越えているね。僕らの頃は、ただ、蹴って走ってゴールを目指せばいいという時代だから、まず、サッカーに必要なのは3Bとクラマーさんに言われた時には、いささか驚いた。Ballコントロール、Bodyバランスと体力、Brain頭なんだが、それが実際の練習でも常に問われていたんだ。

 練習ではボールをつまらないミスで逃すと本当に怒られた。とにかくクラマーさんがいると集中していたね。でも、クラマーさんが目を離すとつい気が抜けてミスするんだ、そうすると「正確に=genauゲンナウ」ってドイツで叫ばれる。どこで見ていたのか、しっかり横目で見ていたのかもしれないけど、こちらは見てないと思っていたから、驚いたね。

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『日本人に教えたい戦術的ピリオダイゼーション入門』第1回

_SX350_BO1,204,203,200_ Footbal Weekly編集部では、『日本人に教えたい 戦術的ピリオダイゼーション入門』(東邦出版)の翻訳を手がけた。編集部で翻訳というのは、いささか奇異に感じられるかもしれないが、本書は実践トレーニングなどにもわたっており、単純に翻訳をすれば良いというものではないので、幾人かの人の手を煩わせることとなり、最終的な責任は編集部にあるという形で、訳者名として表記している。
 モウリーニョ、グアルディラ、クロップ、ファン・ハールをはじめとするトップクラスの指導者が実際に練習で用いている63種類ものトレーニングに関しては、V・ファーレン長崎のアカデミーダイレクター、寺峰輝さんに翻訳のチェックをお願いした。


 3回にわたってその内容の一部を掲載するが、1回目は「戦術的ピリオダイゼーションとは何か」について説明した部分を紹介する。


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VIVA! ROASSO 熊本地震からの歩み 

Football Weekly編集部では、熊本地震で被害を受けた当事者となったロアッソ熊本に関して、何か出来ることはないだろうかと考えてみた。大災害からの復興は簡単かつ短期的に解決出来ることはではないことは、3.11の「東日本大震災」の現状を見るまでもなく、誰もが思うことだろう。さらにいえば被災した人たちが受けた心の傷には、計り知れないものがあることも事実だろう。

だが、月日は流れるし、当事者ではないものには、その「恐怖」とも呼べるかもしれない、「被害」への実感は弱い。

そうした「実感」を所詮他人事と思わないためには、当事者からのレポートが大事だろうと考え、スカパー!Jリーグのロアッソ熊本の試合のアナウンスと熊本放送のラジオでロアッソ熊本の応援番組を担当する山崎雄樹氏に原稿を依頼した。
 単なる現状報告ではなく、ここから始まるこれからも視野に入れながら、当事者として、なんとか「復興できた」かもしれないと思えるまでを書いて欲しいとお願いした。

当事者しか分からないことを真ん中において、クラブ、選手、サポーター、地域のこと、そしてそれを伝える自分たちのことを伝えてもらう。いつが終わりなのかは分からないが、当事者である彼らが「良いだろう」と思うまで連載は続く。基本的には月に2回以上と考えているが、それは熊本の現状次第で、不定期にならざるを得ないとも思っている。
 とにかく、第1回を掲載できることになったので、まずは読んで頂きたい。

footballweekly 発行人 刈部謙一

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第1回 「帰ってきた、ホーム。〜絆宣言〜」  文・山雄樹

「42分の1試合だけど、いろんな感情があって、いろんな出来事があって、やっと帰ってきたホーム。帰る場所、帰るホームがあるのはいい」。
 思いを噛み締めるように、しみじみと元日本代表FW巻誠一郎は語った。

熊本地震発生から81日目、2016年7月3日、明治安田生命J2リーグ第21節ロアッソ熊本対セレッソ大阪の試合が熊本市東区の県民総合運動公園陸上競技場、うまかな・よかなスタジアムで行われた。ロアッソにとって85日ぶりのホームゲームだ。

4月14日、4月16日と二度、震度7の地震が熊本県を襲った「熊本地震」の影響で、ロアッソは、この3か月間、千葉県柏市の日立柏サッカー場、兵庫県神戸市のノエビアスタジアム神戸、そして、佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムでは2試合と、ホームゲーム4試合を熊本県外で開催せざるを得なかった。スタジアム自体も、扉のガラスが割れたり、天井が一部落下したりと被害を受け、さらに救援物資の輸送拠点や避難所となるなどし、試合会場として使えなくなったためである。

ただ、地震直後に訪れたスタジアムのピッチは鮮やかな緑をたたえ、建物自体の損傷も試合ができないほど、ひどいものには思えなかった。それでも、水や毛布など大量の救援物資が、所狭しとコンコースに積まれ、その物資を運び入れる大型トラックが何台も列を作り、避難所などに向けて自衛隊の車両がひっきりなしに出発していく様子を目の当たりにすると、さすがに、「ここは前線基地なんだ」と、スタジアムがすっかり変わってしまった現実を思い知らされた。

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[ユーロ2016]ロナウドを失ったポルトガルが初優勝!

1カ月にわたってフランスで開催されたユーロ2016、10日に行われた決勝でポルトガルが延長戦の末フランスを下し、初優勝を飾った。

ポルトガルは前半途中にキャプテンのクリスティアーノ・ロナウドを膝のケガで失うというピンチに見舞われたが、GKの好守もあってフランスにゴールを割らせることなく、攻めては途中出場のエデルが延長戦で鮮やかなミドルを決め、これが決勝点となった。

2004年、自国開催の決勝戦でギリシャの前に涙を呑んだポルトガルは、パリの地で初のトロフィを掲げた。


マンオブザマッチに選ばれたペペは試合後、「主役を失った我々にとってはタフな試合となった。ロナウドはどんなときでもゴールを決められる選手だから、我々の希望はすべて彼の肩にかかっていたんだ。だが、彼が続けられないとわかったので、チームメートには彼のためにも勝つしかないと伝えた。監督も僕らをその気にさせてくれたし、交代選手もタイミングよく投入された。優勝のために我々は血と汗と涙を注いできたんだ。ポルトガルのサッカー史に素晴らしい一ページを加えられたよ」と話した。


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[ユーロ2016]開催国フランス、世界王者破って決勝進出

7日に準決勝のドイツ対フランス戦が行われ、フランスがグリーズマンの2ゴールで世界チャンピオンを下し、ポルトガルとの決勝へ進んだ。

ドイツ優勢で進んだ前半だったが、アディショアナルタイムのフランスのCKのボールを、この日キャプテンマークをつけて先発したシュヴァインンシュタイガーがハンドしたとして、フランスにPKが与えられた。これをグリーズマンがきっちり決めてフランスが先制。思わぬ展開に巻き返しを図ろうとするドイツだったが、先取点に勢いづいたフランスは72分にもポグバのクロスをノイヤーが弾いたところをグリーズマンが押し込んで2点目。ドイツは終盤に反撃するがゴールを割ることはなかった。


試合後、デシャン監督は、「私は選手時代に(決勝を)経験している。監督として誇らしいし、選手たちを誇りに思う。私がフランス代表のユニフォームを着たときはキャリアの中でもっとも誇らしい時間だった。選手にとってこれ以上のものはない。そう思わない場合もあったかもしれないが、今夜は間違いなくこのユニフォームを着れば人々にどんなことを与えられるか自覚しただろう。簡単な試合ではなかった。ドイツはこれまで対戦した最高のチームだった。我々はやるべきことをやった。ロリスは素晴らしかった。彼が危機を救った。ドイツは技術的に優れ、うまくボールをまわした。選手を数人欠いていたとしても、彼らには経験があった。フランスはまだ代表キャップの少ない選手がいるが、彼らも全力を出し切った。監督として最高の気分だ」と話した。

なお、この試合の2ゴールでグリーズマンは総得点を6点に伸ばした。3得点で2位のロナウドとは決勝で対戦するが、得点王(ゴールデンブーツ)をほぼ手中に収めたと言っていいだろう。

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