松田直樹が急逝してしまった。サッカーファンの誰もが、悲しみに打ちひしがれていることだろう。残念で残念で、仕方がない。これほど思い出深い選手が、ほかにいるだろうか。亡くなるには、早過ぎるよ。

僕は高校時代の彼を取材したことがある。高校選手権の解説の仕事で、場所は確か駒沢競技場だったと思う。当時の前橋育英はとても強くて、その中でも松田の存在感は際立っていた。松田はその後Jリーグに進み、一年目からレギュラーとして活躍した。

彼はまさしく、日本を代表するセンターバックだった。大型で個人技があり、井原正巳の後を継いで新しいセンターバック像を作り上げ、五輪でもA代表でも、日本サッカーがもっとも華やかだった時代を牽引してきた。

そのプレースタイルは、松田の人間性そのものを表していた。彼のプレーからは、ただただ純粋にサッカーが好きだという気持ちが伝わってきた。熱血漢であり、ムードメーカーでもあった。

その純粋な主張は、ときに相手とぶつかることもあった。ジーコジャパンのときには、合宿から途中で帰ってしまったことさえある。だが、松田のことを悪く言う人間はいない。彼がただ純粋にサッカーを愛していることを、みんなが知っているからだ。それに、口だけじゃなくて、きちんとやるべきことをやる選手でもあった。

昨季末、16年間在籍した横浜F・マリノスから構想外であることを告げられ、今季からJFLの松本山雅でプレーすることを選んだ。チームをJ2に上げると鼻息を荒くし、サッカーに打ち込んでいた。彼の人間性と、根性がよく表れた選択だったと思う。

願わくば、もう一花咲かせてほしかった。チームをJ2に上げて、松田ここにありと示してほしかった。逝くには早過ぎるよ。子どももまだ小さい。なぜこんなに早く逝かなければならないのか。誰も責められないけど、本当に惜しい人材を亡くしてしまった。

松田が倒れたのは、練習中の、ピッチの上だった。サッカーが好きで好きでたまらない、松田らしい最期だったのかもしれない。松田直樹は、最期まで松田直樹だった。

どうか安らかに眠りください。そして、本当にありがとう。