第8回 「復旧、復興とクラブと私。」  文・山雄樹


ロアッソがJ2残留を決めた2日後、熊本地震の発生から7か月が過ぎた11月14日、熊本県内で建設が計画されていた仮設住宅がすべて完成した。16市町村の110団地、4303戸。これで、およそ1万1000人の住まいが確保されたことになる。さらに、既存の民間による賃貸物件を県が借り上げて被災者に提供する「みなし仮設住宅」を合わせると、およそ1万5000戸となる。

最後に完成したのは、県の西部に位置する御船町の落合地区の42戸と、震度7を2回観測した益城町の福富地区の6戸。このうち、益城町の仮設住宅は、車いすで出入りできるよう設計されたバリアフリー型で、熊本県住宅課によると、風呂やトイレを共有しない独立した形のバリアフリー型仮設住宅は、全国でも初めてのもので「熊本モデルとして、全国で災害があった場合に発信していきたい」と、担当者は語る。

また、地震で被害を受けた熊本のシンボルとも言える熊本城を修復するために、支援金を募る「復興城主制度」への申し込みが1万件を超えたのも同じ時期だった。金額にして1億6260万円。募集開始からわずか2週間で多くの支援が届いた。熊本城は、13ある国指定重要文化財である櫓や塀、門、そして、石垣や天守閣などが倒壊し、修復には634億円が必要で、熊本市の大西一史市長は「20年後には地震前の状態に戻したい」と語っている。元の姿に戻るまで、数十年という非常に長い期間に渡る復旧、復興活動となる。

その後、「2016現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」の特別賞に「復興城主」という言葉が選ばれ、12月1日には、大西市長と熊本城をモチーフにした熊本市のイメージキャラクター「ひごまる」(2007年の熊本城築城400年祭で誕生)が東京で行われた授賞式に出席している。1か月で2万2045件、3億5027万7254円の寄付が寄せられた。さらに、地震発生から8か月となった12月14日現在で、2万6749件、4億3399万4670円と、数字を伸ばしている。

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