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内田篤人が語った“これから”の生き様 「無理してもがんがん行くよ、俺は」

「長い間休んでいたんだから、時間がかかるのはしょうがない」

「ここはいいスタジアムだよね、今日なんて4分に退場者が出て10人になったけど、(スタンドを埋めた人たちは)本当に12人目の選手だった。ファンじゃないサポーター。選手は戦えるし、走れるよ。最後はやられちゃったけど。本当にいいスタジアムのチームに居させてもらえているなって思う。入団前に1度見に来て、いいスタジアムだなって思ったけど、やっぱり日を重ねる毎にその思いが強くなるよ。苦しいときに助けてくれるなからね」

 開始4分でセンターバックのナルドが一発退場。それでも、守備を固めながら粘り強く戦ったシャルケ。89分に失点し、敗れてしまったものの途切れることなく、歌い、手を叩き、コールをおくり続けたサポーターを内田篤人が称えた。

 12月8日ヨーロッパリーグ対ザルツブルグ戦で83分に途中出場し、1年9カ月ぶりに公式戦復帰を果たした。消化試合ではあったが先制点を許した状況での起用。「長いリハビリを頑張りましたっていう、ご褒美みたいなものだけれど、監督には感謝している。次の目標はホームのフェルティンス・アレーナでプレーすること」と話していた。

 しかし、この日の試合はベンチ外だった。
「この前の試合は消化試合だったし、メンバーもだいぶ変わっている中で、ある程度チャンスを貰えるかなとは思っていたけれど、今日みたいに誰かがすぐに退場したり、怪我をしたときに、『お前90分ちゃんとできるのか?』って言われたら、『いやまだ10分しかやってません』っていう状況だからね。そこらへんはわかっているけど、早く出たいっていうか、時間がね、やっぱり、もどかしいなとは思う。監督がどういう風に使おうと思っているのかは、監督の考えだから。長い間休んでいたんだから、練習も含めて長い期間プレーしないと次へは進めないのかなとも思う。だから、少しずつ少しずつ。時間がかかるのはしょうがない」

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第7回 「今シーズン最終戦。」  文・山雄樹

「未来の為に共に歩み続ける 熊本にHIKARIあれ」

ロアッソにとってアウェイとなるキンチョウスタジアムでの今シーズン最終戦で、セレッソのサポーターがバックスタンドに掲げた横断幕だ。熊本地震発生から7か月以上がたち、こういった横断幕を見ると、「まだ忘れられていないんだ」という感謝の気持ちがわき起こり、ひときわ心安らぐ。

「HIKARI〜輝く未来へ〜」は、熊本市出身の歌手、水前寺清子さんが歌うロアッソ熊本応援イメージソングだ。2012年からユニホームの胸部分のスポンサーとなっている高橋酒造株式会社(主力商品は米焼酎白岳)が企画した曲で、2009年には「がんばれ!熊本」というキャンペーンを展開し、テレビコマーシャルには、水前寺清子さんとともに、ロアッソの選手達も出演した。

実際に、この年の8月16日にホームスタジアム、うまかな・よかなスタジアム(当時のスタジアム名はKKWING )で行われたJ2第34節水戸ホーリーホック戦では、水前寺清子さんが、試合前のピッチで歌声を披露した。また、この曲の作詞を担当した、熊本を拠点に活動するアーティストのタケルさん(当時は「鮫」というバンドを結成していた)は、「この歌は、もちろんロアッソ熊本の応援ソングだけど、熊本に住んでいる皆の応援ソングだと思って、熊本に住んでいる、熊本で頑張っている皆が、この曲を聴いて、嫌なこととか、くじけるようなことがあっても、頑張ろうって思うような曲を作ってほしい、そういう詞を書いてほしいと言われて書いた曲」と説明している。

ただがむしゃらに 負けても 諦めずに ボクらは歩いて行く 光を浴びて

という歌詞の一部だが、歌詞の一言一句が本当に心を打つ。熊本地震の後は、奮闘を続けるロアッソの選手達、応援するファンやサポーター、ひいては、それを伝える自分達の姿と重なり、なおさらだ。

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第6回 「10月30日、首位札幌に勝った日」  文・山雄樹


熊本地震に負けず、J2残留を決めたロアッソ熊本。シーズン終盤、首位北海道コンサドーレ札幌を相手に挙げた勝利は、残留に近づく、そして、クラブの理念である「県民に元気を」「子ども達に夢を」「熊本に活力を」届ける大きな勝点となった。その試合を振り返りたい。

「めっちゃ楽しい試合!」
10月30日(日)にホーム・うまかな・よかなスタジアムで行われた明治安田生命J2リーグ第38節、ロアッソ熊本対北海道コンサドーレ札幌。勝点40で18位のロアッソが、勝点78で首位、早ければ、この次の試合でJ1昇格(自動昇格の2位以内)が決まるという札幌を迎えての一戦だった。

この試合に合わせて、「くまもとサッカーフェスタ」と銘打った年に一度のイベントが行われた。「ロアッソ熊本をJ1へ」県民運動推進本部という県体育協会や県サッカー協会が中心となって2009年に設立された団体(前身は2004年12月に発足した「熊本にJリーグを」県民運動推進本部)や、県サッカー協会、ロアッソの運営会社アスリートクラブ熊本、地元新聞社の熊本日日新聞社がつくる「みんなで行こうJ実行委員会」が主催し、私が勤務する熊本放送も協賛社に名を連ねている。

このイベントは今年で10回目を迎える。県内の自治体が制作したゲートフラッグが飾られたり、県内各地のマスコットキャラクターが集まってパフォーマンスを披露したりして、スタジアムは、楽しげな空気に包まれる。

そして、今年は、「復興支援企画」として、熊本地震で特に大きな被害を受けた7町村(大津町・南阿蘇村・西原村・御船町・嘉島町・甲佐町・益城町)の住民が無料招待された。

「めっちゃ楽しい試合!」という言葉は、招待チケット受け取りブースで、話をきいた男子児童の言葉である。大津町から来たという父、母、児童2人の4人家族に「きょう、どんな試合をしてほしいですか」とたずねたところ、その男子児童が周囲に響き渡るほどの大きな声で、少し飛び跳ねながら、答えてくれたのだ。

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第5回 「J2残留決定。」  文・山雄樹


「僕らを支えてくれたサポーターや、熊本の皆さんに、感謝の気持ちしかないですし、点数で言うと、かなり低いパフォーマンスだったと思いますけど、残留できましたし、未来につながるような1年だったと僕自身は思っています。今年、経験した事を、今後も継続して、自分達のチームの中で共有して、来年はJ1を目指せるようなポジションに行きたい」と、巻誠一郎は語った。

ロアッソは、11月12日(土)、今シーズンの41試合目、ホーム最終戦で、FC岐阜に1対0で勝ち、J2残留を決めた。

うまかな・よかなスタジアムで行われた明治安田生命J2リーグ第41節、ロアッソ熊本対FC岐阜。ロアッソのホーム最終戦は、勝点43で18位のロアッソと、勝点40で19位の岐阜、ともにJ2参入9年目、J2残留をかけた「同期対決」だった。ロアッソは引き分け以上で、J2残留が決まる。つまり、残留まで、あと勝点1まで漕ぎ着けていた。
 
ファンやサポーターの入場口近くのコンコースに、Jリーグクラブを中心に全国のサッカークラブのフラッグが縫い合わされた「絆のフラッグ」なるものが飾られていた。フラッグとともに掲示されていた資料によると、45チームの74枚のフラッグをつなぎ合わせたものだ。それぞれにメッセージが書き込まれていた。普段は、宮城県南三陸町の伊里前福幸商店街に飾られ、東日本大震災からの復旧、復興を応援している。

そのフラッグを、この日のために運んできたという長野県松本市に住むJ2松本山雅FCサポーターの男性が、ミサンガを配っていた。「潮風でフラッグが駄目になってしまうんですよ。でも、そのフラッグで、このミサンガを作っています」。そして、こう続けた。「まだ、皆さん、仮設住宅に住まれています。『復興』という言葉が『元通りになる』という意味なら、まだ0%ですよ」と、穏やかだが、力強い口調だった。

男性から勧められるままにミサンガを1本、受け取った。色は、もちろん、ロアッソのチームカラーである赤を選んだ。男性は「浦和かもしれないですよ」と笑った。
「大丈夫です。ロアッソ(当時ロッソ)が県内で最初に対外試合を行ったのが浦和レッズですから」と、クラブが発足した2005年2月20日に、このスタジアムで行われた練習試合の事を話そうと思ったが、スカパー!Jリーグ中継の放送開始時刻が迫り、時間もなかったので、後ろ髪を引かれる思いで、7階にある放送席に向かうことにした。もちろん、サッカーファミリーの絆の強さや、復興の難しさ、そして、実況アナウンサーとして、この一戦を伝えられるありがたさを感じながら。

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第4回 「励まし、励まされ。」  文・山雄樹


熊本地震発生から半年が過ぎた。ようやく業者の手が回るようになったのか、熊本市内の、熊本放送がある中央区や、私の自宅がある東区でも、補修工事や解体工事の現場が増えてきた。しかし、その光景から、地震からの復旧、復興への歩みを実感すると言うよりも、気付かなかった被害を知ることで、爪痕の深さを感じることの方が多い。

極めて個人的な事を言えば、私が三重県の鈴鹿市から熊本に来た1998年から、19年通い続けた美容院も、地震の影響で閉店を余儀なくされ、「地震さえなければ」と悔しい気持ちがこみ上げてくる。

ロアッソのホームスタジアム、うまかな・よかなスタジアムがある熊本県民総合運動公園からおよそ5劼里箸海蹐忙笋亮宅はある。震度7を2回記録した益城町と隣接していて、4月14日には震度6弱、16日には震度6強を観測した。自宅の壁にも多数のひびが入り、「一部損壊」という判定を受けたが、周囲には、それ以上の被害を受けた住宅や店舗も多く、今でも屋根がブルーシートに覆われたままだったり、重機がけたたましい音を立てながら、作業を続けていたり、すでに更地になってしまったり、そんな場所ばかりが目立つ。

スカパー!Jリーグ中継でロアッソのホームゲームを実況するため、自家用車を走らせ、毎試合、スタジアムに向かう。そんな地震の爪痕を見る度に、負けそうになる気持ちと、負けてはならない気持ちが混在し、何とも言えない気持ちになる。何と闘っているのか、地震の被害なのか、自分の弱さなのか、蓄積した心身の疲労なのか、その相手の得体は知れない。

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