今季負けの無い3位ケルンは、10月1日絶対王者バイエルンミュンヘンのホームスタジアム、アリアンツアリーナへ乗り込んだ。1部に昇格後、リーグ戦では4度バイエルンと対戦しているケルンだが、1度も勝っていない。アリアンツアリーナでは4−1、4−0と大敗を喫している。

1位対3位の上位対決ではあったが、キックオフ早々から、力の差を感じさせられる展開が続いた。ボールを繋ぎ、敵陣へと攻め入るバイエルン。ケルンはその攻撃を受け止める立場に立たざるを得ない。しかし、ケルンは決して受け身ではなかった。相手のパスをインターセプトして、カウンター攻撃を仕掛けるシーンを作ることには成功していた。

22分には大迫が抜けだし、ドリブルでゴールを狙う。シュートはノイアーにキャッチされたが、2戦連続ゴールと調子をあげているからこその力みの抜けた柔らかいプレーだった。当初はほとんどパスが来なかったが、30分過ぎからケルンが “らしい”プレーを展開し始める。カウンターだけでなく、DFラインからパスを繋ぎ、ボールを運んだのだ。

しかし、39分、先制点を決めたのはバイエルンミュンヘンだった。

「1−0になっても慌てずに戦えたことがもっとも良かった」と振り返った大迫は、後半早々の48分CKからヘディングシュートを放ったが、わずかに外してしまう。けれど、この試合の後半はケルンペースの試合になったと言ってもいい。果敢に縦パスを入れて、得点機を作ろうとチャレンジしていた。その軸になっているのはもちろん大迫。2トップでコンビを組むモデストとの相性も良く、横並び、縦並びとポジションを変えながら、味方のパスを引き出している。

そして63分、モデストのゴールで同点に追いついたケルンは、ゲームの主導権を握った。もちろん、ボールを保持していたのはバイエルンだったし、シュート数は少なくはなかったが、ケルンはおちついてゲームをコントロールしていた。

大迫は前線でボランチのシャビ・アロンソやCBのハビ・マルティネス、フンメルスを背負いながらもくさびのパスを受け、チャンスメイク。リターンパスが返ってこなくても、次の縦パスを意識して、飛び出していく。75分にはゴールネットを揺らすシュートを打ったが判定はオフサイドだった。

時計の針が進むにつれて、バイエルンは当然焦り始めた。惜しいシュートがあっただけに、焦燥感は増していく。リスタートのたびに大観衆から「遅延行為じゃないか」とブーイングが起きても動揺することが一切ないケルンは、あらゆるプレッシャーを跳ね返した。86分、ペナルティエリア付近のデリケートな場所で果敢に身体を張ってシュートブロックしたのは大迫だった。

そして、88分、アウエイにもかかわらず、数多く駆けつけたケルンサポーターからのスタンディングオベーションのなか、大迫はピッチをあとにした。この試合でケルンが放ったシュートはわずかに5本。そのうち3本が大迫のシュートだった。

そして試合は1−1のまま終了。バイエルンが放ったシュートは27本、ボールポゼッション68%。しかし試合には勝てず、開幕からの連勝も5で止まった。

ベンチからピッチ中央へ集まるチームメイトのもとへ足を向ける大迫の隣にはシュテーガー監督。ふたりはずっと話しながら歩いていた。

「『前半は難しかったか? 不安をもっていたの?』ってふ言われました。僕に限らず、チーム全体を見ていてそう感じたみたいで。だから、『ちょっと相手にボールを持たれて難しかった』というふうに応えた」

試合後大迫はそう説明してくれた。各国代表選手が揃うバイエルン。そのDFに対しても臆することは一切なかったという。

「まったくないですね。気負っても意味ないですし。チャレンジすること、ゴールに向かっていくことが一番大事だと思うから。それは考えなかったですね」

だからこそ、チャンスでゴールを決められなかったことが悔しいと話す。強豪を相手にしても恐れることなく挑戦したケルン。ジャイアントキリングにはならなかったが、それでもさらに大きな自信を手にしたことだろう。

[取材/文 寺野典子]