9月24日ブンデスリーガ第5節が行われた。
前節終了時点、勝ち点9で4位のフランクフルトは、同じく勝ち点9で5位のヘルタベルリンをホームに迎えた。19分ヘルタがPKを決めて先制。その後攻勢に出たフランクフルトが39分、45分とゴールを決めて逆転。しかし、58分、65分にヘルタが途中出場の右アウトサイドのエッスヴァインの活躍で加点し、2−3とリードしたが、終了間際にフランクフルトが同点に追いつく劇的な幕切れとなった。

第1節、第2節と連続マン・オブ・ザ・マッチに輝いたヘルタの原口元気は、前半こそ得意のドリブル突破で見せ場を作ったが、右サイドでの展開が続いた後半はほとんどボールを触る機会もなかった。
「落ち着いてはプレーできていましたし、後半もボールはこないけど仕方ないと思って、自分のやるべきことだけやろうとは思っていました。(パスが)1本あればいいなとは思ってましたけど、まぁなかったんで……」と、90分間プレーした原口は「不完全燃焼だった」と悔しさをにじませた。



パスが来ない状況で、中央でチャンスを待つことも考えたというが、監督からはサイドで待つことを求められている。しかし、パスの供給源となる中盤の選手から左の原口へという展開は生まれない。逆に右サイドのエッスヴァインがチャンスメイクするぶん、逆サイドの原口はポジショニングでもバランスを見なくてはいけない。
「見てもらえないというか、見ることができない。左へ出してと言っても、『左足で蹴れない』と言われたら、どうしようもない。それでも、練習中から意識してもらえるようにやっていくしかない」と原口。

以前、1984ミュンヘンへ移籍したばかりの大迫が、「動き直しをすると味方が見失うので、動きすぎるな」と言われているという話をしていた。W杯優勝国のリーグと言っても、選手のレベルには格差があり、得手不得手というのも当然ある。視野の広さの平均値で言えば、Jリーグの選手のほうが広いかもしれない。しかし、展開力が無くとも、1対1の強さや高さなど、ボランチとして存在価値を示す武器を持っているということだろう。

前節、バイエルン・ミュンヘンに0−3で敗れたヘルタは、この日も3失点。
「最後の集中というか、つききれてないというか、もったいない。僕があそこまで帰ることは不可能だし、セットプレーと逆サイドだった……」
どの失点も原口には防ぎようのないものだった。それだけに「残念」という一言では片づけられない90分だったはずだ。

「仕方がない」と繰り返しながらも、「やっぱり周りともっと話をしていきたい」と前を向く。と同時に「とは言っても『点は獲れているんだから』というふうに考えるだろうから……ね」とも話したが、チームの主力として存在価値を十分に示しているからこそ生まれる自信は原口をずいぶんとたくましく見せてくれた。

開幕3節連続でスタメン起用されていた長谷部はミッドウィークに行われた前節で今季初のベンチスタート。代表戦を含む連戦での疲れを考慮して先発から外れた。しかし、今節もまたベンチスタートで出場機会は訪れなかった。

「戦術的な部分というよりは、どちらかというと、疲労とか、先月代表に行っていてとか、そういうことを監督は言っていました。でも個人的な感覚としては、本当に自分を使おうと思えば使うだろうし、そこの部分では自分のアピール不足の部分もあるとは思います」

来月には再び代表戦が控えていることを考え、長谷部は歯がゆい想いを滲ませた。
「開幕から4試合で2失点しかしていなかったのに、今日だけで3失点。修正すべきところは確かにあると思うけれど、自分が出た時にどういうことをチームにもたらせるかっていうのを、考えながら見ていました。(選手間の)競争が激しくなっているというのは、感覚としてはありますけど。ただ、ドルトムントとかレスターとか、セビージャとか、そういうところの競争とはまた全然違うので」

昨シーズンは右サイドバックでプレーする試合も多く、左サイドバックを務めたこともあった長谷部。しかし、現監督が就任以降はボランチとしての起用が続き、残留にも貢献したという自負は当然あるだろう。それでも相手を分析し、「ボランチに何を求めるのか?」という指揮官の思惑次第で、立場は変わってくる。

速い攻守の切り替えというのではなく、落ち着きなく攻守が変わる試合だった。中央に長谷部がいればゲームに安定感は増し展開力も高まっただろう。手堅い試合を作ることはできなかったが、負けたわけではない。監督はこの結果をどう受け止めるのだろうか?

シュートチャンスがなかったのは原口だけでなはかった。ヘルタは6本シュートしか打っていない。わずかな好機を得点に結びつけた。フィニッシャーの個の力はやはり圧倒的だった。
「得点は入らなかったけれど、チャンスはたくさんあった」
「チャンスはほとんどなかったが、得点は生まれた」
前者を良しとすれば試合には勝てない。だからといって、後者を良しとしているとチーム力は上がらないだろう。原口を上手く使うことができれば、ヘルタの攻撃が多彩になるのは間違いない。

そして、フランクフルト。
「チャンスは作られたけど、得点は許さなかった」
「失点したけれど、チャンスを作らせなかった」
前者を良しとすれば試合には負けない。しかし、後者を良しとするならば、試合には負けてしまう。
3−3という試合結果をどう受け止めるのか?
それによって、スタートダッシュに成功した両チームの今後を左右する試合になったのかもしれない。

[取材・文 寺野典子]