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第25回「今日もすべてを出し切り準備する」



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みなさん、こんにちは。

今年、僕は自伝『特別な時間~すべてはサッカーのために』(公式サイトtatsuyatanaka.net)を作りました。
生まれ故郷から、帝京へ進学するために上京してから、浦和レッズでJリーグデビューを果たし、アルビレックス新潟で再スタートを切った自分のキャリアを振り返ることになったのですが、自分が生きていくうえで「忘れてはならないもの」をもう一度強く胸に刻むことができました。
それは、「毎回毎回、いろいろな人たちに支えられて、僕は生きている」ということです。
日々、感謝の気持ちを持って暮らしていきたいと考えているので、本を作る過程のなかで、再確認するようじゃダメなのかもしれないけれど……。

高校時代の僕は、特別な選手じゃなかった。そんな僕がなぜJリーガーになり、夢を叶えられたのか?
今はダメでも、夢を叶える可能性はゼロじゃない。
大切なのは結果ではなくて、その過程だと僕はいつも考えています。
夢や目標に向かってがんばっている人の心に響く本になればいいなという想いもあります。
だから、新潟市、聖籠町の中学校へも寄贈し、図書室に置いてもらえることになったので、たくさんの生徒さんに読んでもらえたら嬉しいです。

「本、読んだよ。とても良かった」とファンの方に言ってもらえるのも本当に嬉しいんだけれど、やっぱり、照れくさい感じもあります。
そうやって応援してくれる人たちへの感謝の気持ちをピッチの上でサッカーをプレーすることで表さなくちゃいけない。また、強く思います。

■「チームのために」を言い訳にしない

今年もまた、アルビは苦しいリーグ戦を戦っています。
もちろんそれは、チーム自身、そこで戦う僕ら選手が招いた結果だから、そこから逃げることもできないし、J1残留のために、勝ち点を重ねていかなければいけない。
開幕当初は先発で出場してきた僕ですが、今はベンチ入りができない試合もあります。
「達也を使ってみよう」というふうに監督に思ってもらえていないということ。だから、練習から1本のダッシュ、1本のパス、1本のシュートを大切にプレーしたい。
とにかくチャンスが来たら、絶対にやらなくちゃいけない。常にそのチャンスを狙い続ける僕の変わらないやり方です。そして、そんな僕は、自分のためにプレーしています。

こういうと、「ファア・ザ・チーム」の気持ちが無いのか? と思う人もいるかもしれませんね。でも、僕にとっては、自分のためにプレーするということは、チームのためにプレーすることと同じなんです。ただ、「チームのために」という気持ちを、プレーを選択した自分に対する言い訳にしたくないから結局、自分を信じ、決断し、選択したプレーで勝負したい。そういう「自分のためのプレー」が“チームのためになる”と信じてやっています。

強引で、我を通すようなプレーもまた、チームの武器になるはずです。
そして、しっかりと練習し、毎日を過ごすという僕の姿勢がチームメイトに何かしらの刺激になれば幸いです。苦境を戦う仲間の一員として、僕ができるのは、そういうことだけだと思うから。もちろん、出場のチャンスを得たら、勝利のための仕事をしたい。この気持ちもまた相変わらずです。

■元気、闘莉王、長谷部

名古屋グランパス戦で、(田中マルクス)闘莉王と再会しました。今季はブラジルへ帰国していた彼が夏にグランパスへ復帰。
試合には負けてしまい、全然良くないし、喜んでいる場合ではないだけど、浦和レッズやアテネ五輪代表などで、共に戦った仲間とまたグラウンドで会えるのはやっぱり嬉しいことでした。

「結婚するよ」
そんな短いメールで長谷部(誠)から結婚報告がありました。「やっとかぁ」という感じですね。もう結婚しても良い年齢だから。自伝の中でも紹介しましたが、ひとつ下の長谷部とは何かといっしょに時間を過ごしました。生まれたばかりの長女をとてもかわいがってくれましたね。

「じゃあ、俺、これから、行ってくるから」と突然、家に挨拶に来て、長谷部はドイツへ出発しました。もちろん移籍することは知っていたけれど、その直前に会いに来てくれたんです。長女を抱っこしてあやしている長谷部に「早く帰ってくるんじゃないぞ」と言ったことを覚えています。
それが2008年のことだから、本当に頑張っているなと思います。でも、そんなこと本人に直接は言わないけれど……。長谷部は僕のライバルだから。

『特別な時間』のなかには、長谷部をはじめ、帝京、レッズ、アルビ、代表で共に戦ったたくさんのチームメイトたちが僕について語ってくれています。そのなかで、「達也さんの代表でのキャップ数ゴール数を超えるのが目標」と話していたのが(原口)元気でした。

そして、9月6日のW杯ロシア大会アジア予選対タイ戦に先発出場し、先制点を決めた元気は、僕の記録(16試合3得点)に並びました。本来のFWだけじゃなくて、ボランチでの途中起用もあったし、もっと早くに僕を抜いてもおかしくはなかったし、本人もそんなふうに思っているのかもしれないけれど、「ゴールの質は俺のほうが良かった(笑)」と、僕は思っています。

レッズでプレーしていたときの元気は、文字通りのドリブラー。元気が左からカットインしたら誰も止められないだろうという選手だった。でもブンデスリーガではガツンと身体を当てられたりして、元気であってもそう簡単にプレーさせてはもらえない。ブンデスリーガのレベルの高さを元気の試合を見ることで再確認しています。

そういうブンデスリーガでレギュラーポジションを獲得するため、元気のプレースタイルにも変化を感じます。引き出しが増えたというか、ドリブル以外のプレーでチームの貢献する姿は、レッズ時代とは違う。“らしくない”というふうに見えるプレーも、元気がドイツで生き残るために必要なものだと思います。

もともと、身体が弱い選手ではなかったけれど、身体も大きくなって、力強さが出てきたなって感じました。昔から負けん気の強い選手。そういう性格がいい方向に向いているなぁって思います。
 
とにかく、今シーズンも残りわずか。
練習、試合に限らず、ピッチに立てることに感謝し、すべてを出し切る、そんな毎日を過ごしていきたいと思います。

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長きにわたりたくさんの方々に愛されてきた田中達也本コラム。
自伝本「特別な時間〜すべてはサッカーのために」も多くの方々にご愛読いただき、
感謝しております。
構成者の都合で、しばらく休載となってしまい申し訳ありませんでした。

今後ともよろしくお願いします。

寺野典子

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田中達也自伝「特別な時間〜すべてはサッカーのめに」は現在も好評発売中。original

発売から3カ月。大好評につき、在庫も残りわずかに。
本書についての詳細は公式サイトtatsuyatanaka.netで紹介しております。
サイトより購入も可能です。

◆新潟地区での販売
アルビレックス新潟オフィシャルショップ「オレンジガーデン」
アルビレックス新潟公式オンラインショップhttp://www.albirex.co.jp/shop/index.html
デンカビッグスワンスタジアムEゲート前広場グッズ売店、場内各グッズ売店
(ホームゲーム開催時のみ)
◆さいたま市
須原屋書店 本店、各支店
東京旭屋書店 イオンモール浦和美園店
紀伊國屋書店 浦和パルコ