「なんか嬉しかったですね。いろいろと報道もでたり、なかなか結果が出ていない中で、『真司頑張れよ』って。ああ自分はこれだけの支援をサポーターから受けているんだなって、深く感じられた。今日はすごくそれが嬉しかったですね」

 2月18日ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦のファーストレグ。2月13日のハノーバー戦に続いて先発出場したボルシア・ドルトムントの香川真司は87分に交代したが、ピッチを去る場面でホームのサポーターから贈られた熱いエールについて、試合後にこやかな表情で振り返った。

 試合当日の練習で初めて先発を知らされた。システムが大幅に変わり、「ちょっとびっくりした」と香川も話した。前半6分に先制点を決めたドルトムントだが、守備に重きをおくポルト相手になかなか追加点を奪えなかった。

「中央は固く守られていたし、のらりくらりとプレーするポルトに、俺たちも飲まれそうな雰囲気になる時間帯もあった。攻撃のスピードが上がらないというか。でも。そういうときでもディフェンダーがうまくそこを高いモチベーションで失点をゼロで抑えたことはすごくよかった」


 32分にはペナルティエリア中央で絶好のチャンスを迎えた香川だったが、放ったシュートはゴールを外れた。

「力んだというか、そういうところの慌てしまうのは、変に意識をしているところがある。無心で打ててないというか……。ラップまでは巧くいったんですけどね。シュートの最後、踏込が多分悪かったのか、ちょっとずれてしまったので」

 前半は1対1の場面でボールを失うシーンもあり、まだトップコンディションとは言えないように見えた香川。周りとの距離感でも苦労しているように思えた。パスをもらい前を向くシーンも少なかった。

 後半になると堅かった守備に緩みがで始めたポルト。生まれたスペースを使いながら、ドルトムントの攻撃が増していく。その流れのなかで香川真司が機能している場面も増えた。そして、71分にはロイスのゴールをアシスト。2−0で試合は終了した。

「自信に繋がるというか、この数試合得点に絡むという意味では絡めていなかった。だから、少し絡めただけで、気分的にちょっと楽になっている自分がいた。攻撃の選手にとって、アシストや得点という攻撃に絡むプレーは、大きな意味をもたらしてくれるんだなっていうのを心身共に感じました」

 11月8日以降、ゴールも挙げられていない。オバメヤンの負傷欠場により、先発が回ってきたのがハノーバー戦だった。そこで約2カ月ぶりのフル出場を遂げたものの、試合を視察したハリルホジッチ日本代表監督からは「身体の重かったのではないか?」と指摘を受けたという。

 ポジション争いの厳しさは変わらない。与えられたチャンスで“いかに”存在感を見せつけるか? コンディションが悪くとも、勝利に繋がる仕事ができた。ミックスゾーンで香川が見せた笑顔は、その安堵感の大きさを物語っていた。


[取材・文 寺野典子]