推定の年間予算は100億円、AFCアジアチャンピオンズリーグ2015では、準決勝でガンバ大阪を二戦合計2-1で撃破した広州恒大。スコア以上に安定感があり、その強さそのままに、FIFAクラブワールドカップ準々決勝でもCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)チャンピオンズリーグを制したメキシコのクラブ・アメリカを2-1で退けた。

そんな広州恒大が準決勝にてバルセロナとの一戦に臨んだ。

長旅を強いられたバルセロナは決してベストなコンディションではなく、スターティングメンバーにもメッシとネイマールの名前はなかった。前半から飛ばしたり、本気でくることがないのは容易に想像がつく。

実際に、バルセロナはゆったりと試合に入った。詰めかけた観客63,800人はバルセロナを応援にきていたようだが、熱心に応援していたのは広州恒大のサポーターたちで、前線にロングボールが送られるたびに声援を飛ばした。広州恒大としては、けっしてやりにくい雰囲気ではなかった。

しかし、いくつかのアドバンテージを得ても、広州恒大は何もできなかった。バルセロナの前半のボール保持率は70%以上で、後半に入ると、大人と子供の試合のような様相になる。スアレスがハットトリックを決めたことで、攻勢は弱められたが、前半41分のFKからのチャンス以外に、特筆すべきシーンを広州恒大が作ることはできなかった。それは広州恒大の選手たちも痛感しており、ブラジル代表経験のある選手たちでさえ、「バルサとの格の違いは分かっていた」と0-3というスコア以上の差を認めざるを得なかった。

試合後、会見にあらわれたフェリペ・スコラーリ監督は、「我々にとってはこの大会は学びの場だ。中国サッカーは、日本にも韓国にも遅れている。追いつくには8年かかるかもしれない。敗戦から学んでいく」と語ったが、代表戦は別として、広州恒大とJクラブだけを近年の結果で比べれば、アジアを制覇できないJクラブの方が劣っていると言わざるを得ない。

ゴールデンでの地上波放送に加え、超満員となったスタジアム。Jリーグ幹部たちの目に、今日の試合はどのように映っただろうか。今後のJリーグのロードマップを是々非々で議論していかなければ、欧州との差は開く一方である。(了)


◇著者プロフィール:石井紘人 Hayato Ishii
FootballWeeklyコラムニスト。『サッカーダイジェスト』など多数の媒体に寄稿。著書に『SOCCER KOZO』(ガイドワークス)編集部と作った『足ゆび力 ~つま先を使うだけで一生健康でいられる~』、家本政明氏にもご協力頂いた『ロダンのポーズで肩と首の痛みが治る!』(ぴあ)とベストセラー『足指を曲げるだけで腰痛は治る!』(ぴあ)。現在、『タグマ!』にて有料サイトの準備中。ツイッター:@FBRJ_JP。