多くのアスリートの怪我を動作解析で改善してきたことで、現在注目を浴び、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)に出演中の夏嶋隆氏。本書には元日本代表の久保竜彦のエピソードしか記載されていないが、昨日行われたJリーグチャンピオンシップ出場者はもちろん、多くのJリーガーたちが夏嶋氏の元に足を運んでいるという。彼らは何を求めて夏嶋氏の元に向かうのか。その理論が詰まった『足ゆび力 ~つま先を使うだけで一生健康でいられる~』が発売された。

同書はFootballWeekly記者の石井紘人が執筆し、『SOCCER KOZO』(ガイドワークス)編集部が編集を行ったサッカーにゆかりある一冊となっている。今回は、その前文を全て掲載する。

■夏嶋隆先生の理論とは?
『足指力』
と言われても、ピンと来ない人がほとんどではないでしょうか。
近年、筋力トレーニングを行うジムが流行っています。多くの日本人が、自らの体が退化していることを感じ、ジムに足を運んでいるのでしょう。
しかし、国民病と言われる腰痛、肩こり、膝痛は一向に減りません。
そもそも、なぜ日本人に、腰痛、肩こり、膝痛が多いのでしょうか。

欧米人に比べ、筋肉量が少ないからという識者もいます。そういえば、私も腰痛を訴えた時に、接骨院で腹筋を勧められたことがありました。
しかし、本当に筋肉量を増やすことで、腰痛、肩こり、膝痛は改善されるのでしょうか。ジムの流行と国民病の減少が比例していない現状から考察すると、その可能性は高くないように思います。
では、どこを鍛えればいいのでしょうか? というよりも、我々、日本人が鍛えていない箇所はどの部位でしょうか?

私は『足指』だと思います。

日本は、世界の先進国の中でも、屈指のインフラが整っている国です。我々が歩く道は舗装されており、でこぼこした道を歩くことはほとんどありません。
我々が意識しているのは、コンクリートを歩いている時につまずかないことだけ。そのため、つまずかないように、『浮き指』にして、歩く人が増えています。
その一方で、岩場のような場所を歩くことは減り、地面を足指でつかむということがなくなっています。
これでは、足指の力が弱まってしまいます。そして、いつの間にか『浮き指』になってしまうのです。

試しに、足指を足の裏側にグッと折り曲げて、バレリーナのように立ってみてください。
おそらく、ほとんどの人が立てないのではないでしょうか。さらにいえば、足指を足の裏側に折り曲げられない人もいると思います。
足指を足の裏側に折り曲げられない人は、足指が退化しています。ちなみに、ほとんどの幼児は足指を裏側に折り曲げるだけでなく、立つことも出来ます。知人の幼稚園で試した所、年少はほとんど出来ます。
なぜならば、子供は退化の過程にいるからです。つまり、子供も足指力を鍛えなければ、どんどん足指が退化していくということです。足指の退化によるひとつの現象を『浮き指』と言います。浮き指とは足の指が上に向かって反り返っていく状態を言います。

近年、「浮き指などにより足の裏の形が崩れることで、骨が変異、もしくは変形する。そして体の上部に影響を及ぼす」と、『浮き指』の危険性を訴える医者が増えています。

足底筋膜炎、外反母趾、足首痛、こむら返り、膝痛、オスグッド、シンスプリント、股関節痛、骨盤の歪み、仙腸関節の離開、腰痛、坐骨神経痛、足のむくみ、冷え、猫背、肩こり、頭痛、自律神経失調などの症状の原因が、『浮き指』である可能性が高いと指摘されているようです。

夏嶋先生と出会うまで、私の足も『浮き指』になっていました。
中学三年生の時に、腰に痛みを覚えてから、腰痛、そしてウオノメとの長い付き合いが始まりました。
腰には湿布を貼り、コルセットをつけて生活をしてしました。そして、足裏にはウオノメパッドを貼り、時にはウオノメを削っていました。
それが今では、コルセットを付けずに生活をしています。ウオノメが出来ることもありません。

「慢性の痛みを抱えている人たちは、足が変形してしまっていることが多いです。もしくは、自分の癖や生活習慣に問題があるかです。歩いたり、走ったり、止まったり、ターンしたり、物をもつなど何かアクションをしたり、その動きで痛くなる。ならば、体に負担がかからない動きをしなければいけない。野球なら正しいフォームで投げなければ肩を壊します。それと同じで、体の不調もフォームに原因があります。正しいフォーム。そのポイントになるのが足指です」

夏嶋先生が言うように、私が意識したのは、“足指と正しいフォーム”です。
まだ「意識している」というレベルで、『足ゆび力』は弱く、指曲げ立ちは数秒しかできません。ウオノメは治りましたが、腰痛は完全に治っていません。
それでも、ギックリ腰になることはありませんし、意識するだけで体は変わります。

実際に、夏嶋先生の理論を体現したことで腰痛を治したのが、元サッカー日本代表の久保竜彦さんです。
FIFAワールドカップ2006年ドイツ大会を翌年に控えた2005年。久保さんは腰の痛みに悩まされていました。診断はヘルニアでした。日本サッカー界が総力をあげて、久保さんの腰の痛みを取り除こうと、あらゆる治療をさせますが、だれも痛みを取り除けませんでした。
そこで、久保さんは夏嶋先生と出会います。
夏嶋先生は、歪みに歪んだ久保さんの骨盤などを動かしました。
しかし、久保さんの腰痛は、日常に問題がありました。それは『浮き指』としてあらわれており、夏嶋先生は「足指を鍛えて、日常から変えないと、また腰が痛くなるぞ。さらに、膝も悪くするぞ」とアドバイスします。

「でも、それに耳を貸すことがなかった。俺は腰をどうにかしてほしくて、膝なんか全然痛くないしって思ってたんですよ(笑)。先生がやってくれると腰の痛みがスーっとなくなるから、それだけで良かった。先生のおかげで試合は出来ていたんですね。」

久保さんは当時をそう回想します。
夏嶋先生の治療が活き、久保さんは復活します。横浜FCでプレーし、浦和レッズとの試合ではスーパーゴールも決めました。しかし、それは長く続きませんでした。

「腰も痛いんだけど、今度は膝の痛みがやばくて…。今になったから言えることだけど、やっぱ先生にずぅっと言われていた通りになりましたね」

久保さんは「障がい者になると思った」と当時を振り返ります。途方に暮れるなか、偶然、夏嶋先生と再会します。

「引退しようと思っていたので、痛くてダメっす。辞めようと思いますって言ったら。だから言ったろーって(笑)。それで、先生の所に行って、足指を鍛えることにして。先生の言うことに聞く耳もってね。やっぱ、聞く耳は持つもんやね(笑)。先生が、痛みは自分でとるしかないんや。俺は手助けだと言う意味が分かった。足指と膝と腰が繋がっているとか、そんなん繋がってねぇやろとか思ってたんですよ(笑)。でも、ずーっと足指鍛えていたら分かるんですよ。先生に言われていたことが、遅れて(自分の体に)くるんですよ。で、体の調子が良くなるんです」

そして、久保さんは完全復活します。ゼロックススーパーカップでも得点をあげました。年齢的なものもあり、日本代表に戻ることは出来なかったものの、昨年まで現役選手としてプレーしていました。

「若い時は、筋肉トレーニングに凝っていて。『おぉ、ムキムキで格好良いやんけ』って。筋肉トレーニングって体に見えやすい。でも、足指が弱い歪んだ体に筋肉をつけても、歪んだ筋肉になるだけ。だから、夏嶋先生と出会ってからは、『足指』を鍛えている」と鍛え抜かれた足指を見せてくれます。目標は「フルポワントで立つこと」だと笑い、今でも裸足で山を走るのが日課だそうです。

現在、日本人の2人〜3人に1人が国民病である腰痛、膝痛、肩こりを抱えていると言われています。
しかし、これという解決策がないのが現状です。だからこそ、いまだに国民病は増え続け、病院ジプシーという言葉も生まれたのでしょう。
本書では、その国民病を改善するために、今までフォーカスされてこなかった『足指』に焦点をあてました。




書籍紹介
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4865353054/fbrj-22/ref=nosim/
<1章>
足指は退化している
浮き指が不調を生む 浮き指とは何か?
拇指球を使うという風潮が足指を浮かせる
浮き指が生む足裏の痛み
浮き指が生むくるぶしの痛み
浮き指が生む膝の痛み
オスグッド症
<2章>
足指トレーニング
<3章>
足指と国民病
腰や膝はなぜ痛くなるのか 40歳以上でひざの痛みがある人は1800万
女性に必要な足指力
浮き指が生む腰の痛み
足の内旋を治す足指の力
足指力で長生きする 老化と腰痛を結びつけるのは間違い!?
高齢の方こそ足指を曲げよう
足指トレーニングで長寿を目指す
<コラム>
足指を鍛えれば、姿勢も治り、コルセットも不要に
<4章>
足を守る
足裏のアーチの重要性
アスリート歩行とは
ふくらはぎをもむよりも足指を握る
「こむら返り」をなくす方法
足の甲の伸びる靴をはこう
<5章>
夏嶋先生と久保竜彦氏の二人三脚での治療とは?