残すところあと2節となったJ1リーグだが、先日行われた第15節では、審判団の判定が物議を醸した。


■FC東京 3-4 浦和レッズ

この試合では三つの議論できるシーンがあった。
一つ目はハンドリング、「競技者が手または腕を用いて意図的にボールに触れる行為はボールを手で扱う反則」だ。この反則を見極める時には、「ボールが手や腕の方向に動いているのではなく、手や腕がボールの方向に動く」「相手競技者とボールの距離(予期していないボール)」「手または腕が不必要な位置にある場合は、反則である」を考慮しなければいけない。

たとえば、クロスボールをブロックしに行く際に、腕を広げてアプローチにいけば、ボールとの距離が近くても、腕が不必要な位置にあるため、ハンドリングの反則となる。

84分のゴールの時、浦和レッズのGKである西川周作と競った高橋秀人の腕をどう捉えるか。議論できるシーンだった。

さらに、90分。クサビにアプローチをかけた那須大亮の顔に、背負いながらトラップした前田遼一の腕が当たってしまった。スローで見ても議論が分かれるシーンで、前田が裏に那須がいるのを分かった上で腕を当てに行ったと主張する人もいるだろうし、不必要に腕は振っていないとも思う。

このような議論が分かれる二つのシーンとは別で、90+4分の中島翔哉への槙野智章の“ホールド”もあり、このようなシーンを招いてしまった原因は、立ち上がりにある。7分のCKの時に、槙野と森重真人が腕を使ってポジション争いを行っていた。この時に、強く介入していれば、ラストのシーンのような難しいジャッジをする必要はなかった。


■川崎フロンターレ 0-1 横浜Fマリノス

全体のレフェリングは決して悪くなかった。
だが、カードマネジメントの拙さが、後味を悪くしてしまった。

90+4分。大久保嘉人のドリブルをアデミウソンがチェックに行くと、大久保が倒れ、アデミウソンも激昂する。テレビ映像でも何があったかは不明だったが、『すぽると』(フジテレビ)や『やべっちFC』(テレビ朝日)では、大久保の腕がアデミウソンに当たったのが映っていた。

にもかかわらず、ここまでの大きな不信感を生んでしまったのは、カードマネジメントが後手になったからだと思う。アデミウソン、大久保の両者にファウル後に介入すれば良かったのだが、アデミウソンに掲出した数秒後、リスタートしようかというタイミングで大久保への警告を示したのはベターではない。

大久保への警告は【反スポーツ的行為】だったのだが、遅れての警告になったために、「大久保への異議としたのでは?」など憶測を生み、「主審は本当に見えていたのか?」とも捉えられてしまった。主審はカメラにも入っており、良いポジショニングから見ていただけに、もっと良いカードマネジメントがあったと思う。もちろん、Laws of the gameから大久保への懲戒罰が必要だったかという議論はできる。


今節での大きな判定となったファウルについて、Laws of the gameを元に議論してみては如何だろうか。


◇著者プロフィール:石井紘人 Hayato Ishii
週刊審判批評』を運営。有料マガジンへの登録は審判取材の支えになります! 著作に『レフェリング』(JVD)。著書に家本政明氏にもご協力頂いた『ロダンのポーズで肩と首の痛みが治る!』(ぴあ)とベストセラー『足指を曲げるだけで腰痛は治る!』(ぴあ)。現在、ガイドワークス社からの三冊目を執筆中。ツイッター:@FBRJ_JP。