第12回 週末にはフットボールを


笹木pic■同郷の奈良選手がJ1デビュー

 お久しぶりです。 
 やっと秋らしくなってきましたね。今年の夏はデビューアルバム『東京シティらんでぶー』のリリースがあり、プロモーションやライブなどで忙しく過ごしました。
 秋の訪れとともにリーグ戦も佳境へ向かっていきます。J1、J2ともに、11月でリーグ戦は終わってしまうので、本当にあっという間だなぁと感じています。

 9月に3試合Jリーグの試合を見ました。

 9月2日 ナビスコカップ 準々決勝第1戦 FC東京対鹿島アントラーズ。チケット観戦。
 まず嬉しかったのが、この日のFC東京の先発メンバーに奈良竜樹選手の名前があったことです。コンサドーレ札幌ユース出身の大型DF。U−16以降、各年代代表にも招集されている期待の逸材! J1でのプレーを希望した今季はFC東京へレンタル移籍中。この日が初出場。もちろん初先発です。

 しかし、キックオフ直後から、僕の目を虜にしたのが、FC東京の前田遼一選手でした。前線からの守備は相変わらずパワフルで、少し中盤に下がってボールを追いかける姿は迫力満点。コンディションの良さが伝わってきました。そんな前田選手のプレーが影響したのか、FC東京の選手たちのプレーにはいつになく激しさがあるように見えました。
 もちろん、アントラーズという球際の強さを持ち味とする相手との対戦だったからかもしれません。拮抗した展開にピッチから目が離せません。

 1−1で迎えた後半。アントラーズの遠藤康選手が超技ありのシュートで逆転弾を決めます。その得点のアシストが西大伍選手からだったことはあとから知りました。僕の座席からは見えなかったんです。帰宅後映像で見たら、大伍のプレーもお見事でした。
 そのままアントラーズが試合の主導権を握り、その勢いにFC東京が押されているようにも思われたのですが、中島翔哉選手のゴールが決まり2−2で試合が終わりました。
 
■ライバルのホームスタジアム埼スタへ

 9月6日 ナビスコカップ 準々決勝第2戦 浦和レッズ対アルビレックス新潟
 この日の試合は、取材者として観戦しました。
 前にもお話したことがありますが、コンサドーレ札幌のサポーターにとって、浦和レッズは“宿敵”という存在なんです。と言っても、浦和レッズファンをはじめ、多くの方々にとっては、「なぜ?」というふうに思われるかもしれません。しかし、2000年シーズン、当時エメルソンを要していたコンサドーレ。J1昇格のために負けられない相手、ライバルが浦和レッズだったんです。
 あれから10数年が経ち、エメルソンを獲得した浦和レッズは、ビッククラブへの階段をどんどんと駆けあがっていきました。かたやJ2が定位置みたいになってしまったコンサドーレ。それでも、コンサドーレを愛する僕は、浦和レッズをライバルと言いたいんです。

 そんな浦和レッズの聖地である埼玉スタジアムに、この日僕は初めてやってきました。東京で暮らすようになって数年が経っていました。味の素スタジアムや等々力競技場、日産スタジアム、今は無き国立競技場へも行きました。しかし、埼玉スタジアムへ来ることはなかったんです。僕のなかでは特別な場所という意識が自然と芽生えていたのかもしれません。

 そして試合当日。自宅から高速道路を使いスタジアムへ。30分ほどで到着し、ちょっと驚いてしまいました。スタジアムをぐるりとまわるように側道を走り、正面の駐車場へ。チラチラと見えるスタジアム。その姿、その大きさに圧倒されました。以前、OASISのライブを見るために訪れたロンドンのウェンブリー・スタジアムへ行ったときと同じような感覚でした、それは記者席に座ったときも同じで、巨大なサッカー専用スタジアムの持つ独特なムードに浸りました。
 
 ナビスコカップ第1戦では、アルビレックス新潟がホームで5−0と勝利。浦和レッズはこの日、大量得点を決め勝利しなければ、勝ち抜けられない状況です。
 メンタル的に有利なのは当然アルビレックス。それでもホームスタジアムを埋めた観衆の声に、レッズの選手の奮起を期待していました。しかし、試合序盤は慎重な戦い方だったと思います。前線へのパスコースが見つからないのか、バックパスや守備陣同士でのパス交換が続きました。強引に攻めることで、相手にカウンター攻撃を許すことは避けたいという意識があったのかもしれません。
 そういうチームのプレーに対して、浦和レッズのサポーターから拍手が沸き起こるシーンがありました。「もっと攻めろよ!」という気持ちから、皮肉めいた拍手なのかとも思ったんですが、その拍手には温かさが感じられた。リスクを冒さないように慎重に戦うチームを支えたいという気持ちからの拍手だったのかもしれません。

 ピッチとスタンドとの距離は物理的にも近いサッカー専用スタジアム。選手のプレーがファンやサポーターのこころに響くのと同じように、スタンドを埋めた人たちの声、拍手、想いが、試合に影響を与えているということを改めて強く実感できました。
 後半10分、13分と続けざまにレッズのゴールが決まったときは、この勢いのまま6点とってしまうのかもしれないという風に思えたのも、ホームスタジアムの威力だったと感じます。結局は後半25分の得点を最後に3−0で試合終了。レッズは勝利したものの準決勝進出は逃してしまいました。

 試合後の監督会見。
 アルビレックス新潟の柳下監督はとても嬉しそうでした。「まだまだ改善すべき点はあった」と敗戦を受け止めながらも、リーグ戦では何年も勝てなかったレッズを倒して勝ち上がったことの喜びが伝わってきました。饒舌というタイプではないのですが、短い言葉に重みがあり、兄貴のような信頼感を抱きました。
 かたや、浦和レッズのミハイロビッチ監督は、当然のように悔しさを口にしていた。その姿からは人間らしさというか、温かみが感じられた。選手たちにとってはお父さんのような存在なんだろうなと思いました。

■今野選手と大伍が激突!

 9月12日 鹿島アントラーズ対ガンバ大阪 チケット観戦
 正午キックオフのコンサドーレ札幌対横浜FC戦をテレビ観戦。小野伸二選手が先発し、内村圭宏選手の2ゴールでコンサが勝利! ホームでの勝利は4カ月ぶりでした。長かった!!
 それから、カシマスタジアムへ移動。18:30のキックオフに間に合うだけでなく、前回は売り切れて食べられなかった名物のもつ煮込みも堪能しました。美味しかった!

 重要な上位対決は予想通り堅い展開。両チームともに手堅い守備が目立ち、決定機を許すことはなかった。前半のシュート数はアントラーズ1本にガンバは4本。そのうち宇佐美貴史選手が放った2本のシュートがすべて、得点となった。0−2とガンバにリードを許したアントラーズが後半攻勢に出るのは当然で、後半のシュート数はアントラーズ16本に対してガンバは2本。しかしアントラーズはそのうち1本しかゴールとならず、1−2でガンバが勝利を飾った。
 試合終了の笛が鳴ったとき、「強いチームと戦うなかで、いかに数少ないチャンスを確実にモノにできるか」というアルビレックス新潟の柳下監督の言葉を思い出した。それは当たり前のことだろうし、どんなチーム、どんな選手も、“モノ”にすることを求めているに違いない。
 しかし、それを実行するのは容易ではない。2本のシュートで2得点。宇佐美選手の決定力は日本人離れしていると感じたほどだ。日本代表遠征から帰国したばかりというのに圧巻の切れ味を見せ、高い技術力でゴールを生む。一瞬の素早いボールタッチと突破力、そしてゴール前での冷静さが、一人際立っていました。

 セカンドステージの上位争いとしても注目を集めたアントラーズ対ガンバ戦。
 しかし、僕にとってはまた違った想いがありました。
 コンサドーレ札幌でプロデビューしたときから、ずっと見続けているガンバの今野泰幸選手とアントラーズの西大伍選手。双方がチームの中心選手として、勇敢に対峙する姿が観られて、とても誇らしい気分を味わうことができた。札幌から巣立ち、大きく成長してくれたことが嬉しかった。

 昼間にテレビ観戦したコンサドーレ札幌では、小野伸二選手がキャプテンマークをつけて戦っていた。浦和レッズ時代から、敵ながらもっとも大好きだった小野選手。コンサドーレ札幌キャプテンとしての小野伸二の活躍を目の当たりにできるなんて夢のようで、テレビを観ながら心が震えた。
 10月4日、10月10日には2試合連続ゴールをきめ、チームも2連勝。シーズン終盤へ向けて、良いはずみとなってほしい。彼らの与えてくれる素敵な”夢"を、最後まで見守り続けたい。

 Jリーグの試合が終わったころ、イングランドのプレミアリーグやドイツのブンデスリーガの試合が始まる。スペインやイタリアでもキックオフの笛が鳴らされる。もちろんトップリーグだけじゃない。小さな町の小さなクラブで、ドラマが生まれているはずだ。続いて南米や北米でも試合が始まる。自分の愛するチームのプレーに一喜一憂している人たちの歓声や興奮が、地球をぐるっとまわっていく。
 週末にはフットボールを楽しもう!



構成:寺野典子

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プロフィール
笹木勇一郎/1988年1月8日 北海道札幌市生まれ。2015年7月1日、ファーストアルバム『東京シティーらんでぶー』がリリース。
ライブ情報
2015年10月23日(金)札幌・UNIONFIELD (問)UNIONFIELD TEL:011-215-1900 
2015年10月25日(日)札幌・SoundLab mole (問)Cloth&Bar Caffeine TEL:011-219-1212
2015年11月4日(水) 東京・代官山晴れたら空に豆まいて(問)代官山晴れたら空に豆まいて TEL:03-5456-8880

笹木勇一郎.net http://www.sasaki-yuichiro.net/
twitter(https://twitter.com/sasaki_yuichiro)、
ブログ「マイルスの巣」でも情報発信中。