ミーハーな気持ちで見たラグビーW杯2015イングランド大会には驚きの光景があった。
それは、日本が南アフリカに勝ったことではない。審判団がテクノロジーを駆使して判定していたことだ。

日本代表×スコットランド戦では、分かり辛い判定を審判団が映像で確認していた。AFPBB Newsによると、「今回のW杯では、専属の判定員が、判定補助システムの「ホークアイ(Hawkeye)」を使ってタッチライン際から試合を観察し、審判団が見逃した選手の反則に警告を与える」。

さらに、同紙によると、今大会で審判委員長を務めるジョン・ジェフリーは「ある文化が忍び寄りつつある。私はそれを、サッカーのシミュレーション文化と呼んでいる。審判に反則をアピールしたり、選手がダイブする行為だ。そういった事例が、何度か見られるようになってきている」とラグビー界に警鐘を鳴らしている。

ある意味では、誤審を生まないためだけではなく、そういった行為を取り締まるためのテクノロジーでもあるのだろう。

さて、ラグビー界から“アンフェアだ”と言われたサッカー界では、テクノロジーの導入は極力抑えられている。それは「世界中のどこでも、変わらずプレーできるのが醍醐味」というのが根底にある。その理念は素晴らしいものだと思うが、反面、審判員への負担は大きすぎる。

毎年、各国で誤審が頻発し、審判員がやり玉に挙げられている。スピードが格段に上がった現代サッカーにおいて、人間の目だけで正確な判定を続けるのは不可能に近い。現在の審判制では、今後、劇的に誤審が減ることはないというのが、私の見解である。

それを受け入れ、「監督や選手と同じように、審判員のミスもサッカーの一部だ」を共通理解と出来ないのであれば、サッカーもラグビーのようにテクノロジー化すべきだと思う。

たとえば、試合放送があるリーグでは、試合をチェックするインストラクターたちがテレビ映像で監視し、コミュニケーションシステムを使って審判団に助言を送ることは、明日からでも可能である。
テクノロジーの導入には是々非々がある。だからこそ、テクノロジー化の議論が必要ではないだろうか。


◇著者プロフィール:石井紘人 Hayato Ishii
週刊審判批評』を運営。有料マガジンへの登録は審判取材の支えになります! 著作に『レフェリング』(JVD)。著書に家本政明氏にもご協力頂いた『ロダンのポーズで肩と首の痛みが治る!』(ぴあ)とベストセラー『足指を曲げるだけで腰痛は治る!』(ぴあ)。現在、ガイドワークス社からの三冊目を執筆中。ツイッター:@FBRJ_JP。