09_tatsuya_1FW第22回「ピッチに立てない自分への腹立たしさ」



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3月に始まったJリーグファーストステージも残り1試合となりました。
並行して行われていたナビスコカップではグループリーグを突破して、アルビレックス新潟初の決勝トーナメント進出を達成しました。しかし、リーグ戦での成績は芳しくなく、応援してくださっている方々の期待に応えられない現実を前にして、僕は、自分自身にとても腹がたちます。

今季は開幕こそ先発出場できましたが、それ以降はベンチに座っているだけで、試合に出られないこともありました。ここ数年経験したことがないほど、コンディションも良好だというのに、試合に出られない。それは、自分の努力がまだまだ足りないということ。そういう自覚と共に、苦しんでいるチームに、ピッチの上で、貢献できない自分への腹立たしさがあるんです。

5月23日のサンフレッチェ広島戦でゴールを決めました。アウエイで1−4という劣勢の状況でしたが、4試合、出場できなかった僕にとって、そんな戦況は、それほどの関係はなかった。ただ、起用されたチャンスで、何かを残さなければ、次が無いという想いだけでした。その試合でゴールを決められたからと言って、安心もできません。本当に自分がギリギリのところに立たされているという危機感を今まで以上に強く抱いています。

どんなに厳しいものであっても、現実から目をそらざす、それをしっかりと見つめ、現実を受け止めなくちゃいけないと思います。ひとつ良い結果が残せたとしても、それを継続して初めて、信頼や評価が生まれてくるんだと考えています。

それは、チームの成績が低迷していることも同じです。
結果が出ないというのは、誰のせいでもなく、選手僕らの責任。ピッチでやっている自分たちが、こういう難しい状況を作ってしまったんです。だから、そこから抜け出すのも自分たち次第というか、僕ら選手がやるしかないんです。だからこそ、現実としっかり向き合うことが大事だし、最後の最後まで楽観したり、安堵したりしちゃダメなんです。

ナビスコカップで好結果が残せても、その勢いに身を任せるよりも、気持ちを切り替えて、新たな試合へ挑まなくちゃいけないと僕は考えるんです。
「大丈夫、この勢いで」と前向きにとらえる選手もいると思うけれど、僕はどちらかと言えば、ネガティブな思考をしっかり理解したいタイプ。試合の怖さとか、精神的なプレッシャーとか、目には見えないウィークポイントからも、目をそらしたくはないから。まあ、そこは人それぞれのやり方があるはず。だから、誰かの真似をするのではなくて、自分はどういうタイプなのかを知ることが大事だと思います。

5月27日のナビスコカップ対湘南ベルマーレ戦では、約1カ月ぶりに先発出場しました。しかもキャプテンマークをまいて。スタジアムのロッカールームには、スタッフは準備してくれたユニフォームが並べられているんですが、僕のユニフォームのうえにキャプテンマークがおいてあったんです。
「僕がやるのか」と少しの驚きはありましたが、過緊張や重荷を感じることはなかった。実は練習試合でもやったことのない、初キャプテンだったけれど。

ベルマーレのキャプテンは坪井(慶介)選手。浦和レッズでのチームメイトとのコイントスは、少し不思議な気持ちにもなりました。キックオフ直前の円陣ではもちろんチームメイトに声をかけました。
だけど、キャプテンマークをつけたからといって、僕の役割が大きく変わることはありませんでした。自分がやるべきことを、ただしっかりとやるだけです。
 
試合中には選手間で、いろいろと修正しながらコンビネーションの質を深めていく作業も必要でした。緊張したり、うまくいかないこともあったけれど、そのむずかしさを楽しいなと感じられる。やっぱり試合はいい。公式戦の面白さを再確認しました。

試合に出て、チームに貢献したい。
もちろん、試合に出られない状況でもチームのためにやるべきことはたくさんあると思います。でも、やっぱり、公式戦のピッチに立つ重さを感じながら、プレーすることの価値というか、魅力があります。試合に出たことで、自分の中にある、試合に出たいという欲の強さを実感しました。この気持ちがなくなったら終わりだと。

 毎日必死でトレーニングする。常に120%で、と願い、トライしている。
 そう想い暮らしているけれど、まだまだ足りないんじゃないかという危機感がある。
 もっともっとという、欲があります。上手くなりたいし、試合に出たいし、勝ちたい。
 
悪い成績、厳しい現状を招いたのは、僕ら選手自身です。
だから、僕たちの手で、解決していくしかない。
でも、そんな僕たちをサポートしてくださる人たちが、与えてくれる力は、とても大きい。誰かのためにという気持ちが力になるんです。
アルビへ声援を贈ってくれる人たちのために、僕らは120%以上の努力をし、戦っていかなくちゃいけないと強く思います。


【構成/寺野典子】