第10回 ドキドキ、ワクワクの2ステージのJリーグ開幕

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 今年のJリーグ開幕を僕はひとり日産スタジアムで迎えた。
 2014年W杯惨敗の記憶、2ステージ制導入などを抱えて、今年のJ1開幕は如何なるものか? いつものJリーグ開幕で感じるワクワクした想いとは少し違う緊張に似た感覚を持ちながら、スタジアムの雰囲気やサポーターの様子を見に行きたかった。

横浜F・マリノス 対 川崎フロンターレとの一戦。

 駅からスタジアムへ続く道。
 チームフラッグ、海外チームのレプリカシャツが売ってる露店が並ぶ。家族連れ、カップル、単独、チームシャツに身を包んだフル装備のサポーター、私服のサポーター。そして、ボールを蹴ってる子供達がいた。
 そんな光景を目にしながら、スタジアムへ到着する。
 スタンドはすでに盛り上がっている。先発メンバーへのチャントが響くバックスンタンド。メインスタンドではざわざわとした賑わいがある。
 すべてが、いつもの通りだった。

 たくさんのサポーターの反対を押し切る形で始まった2ステージ制。
 新システム導入に対して、開幕戦でサポーターの抗議行動があるのではないか? メッセージ・フラッグや横断幕などが掲げられて、開幕へ水を差すようなことにならないか? 内心、少しドキドキしていた。
 しかし、そんな心配は無用だった。
 「決まったものはしょうがない、みんなで盛り上げていこうじゃないか!」
 そんな雰囲気をサポーターの一生懸命な歌声から感じた。

 思えば、J2リーグは1999年のリーグ開始当初からずっと1ステージ制のため、幼い頃からJ2に親しみ深くJ2ばかり観戦していた僕としては、今季は初めて2ステージ制のリーグをしっかりと体験できるシーズンなのである。

(※僕が幼い頃から応援してきた地元コンサドーレ札幌が2000年にJ2で優勝し、J昇格。J1で戦った2001年、2002年シーズンは共に2ステージ制だった。けれど、”優勝”と”J1昇格”のお祭りムードにウカれた当時13歳の僕は、初めて体験したはずの2ステージ制など到底理解も出来ず、ただただJ1ステージで悪戦苦闘するマイチームを能天気に応援していたことは秘密。)

 J2は今年もそのまま1ステージ制だし、J1の2ステージ制との比較もあって、ひとつ面白く両リーグを観れそうなの予感がするのも事実。最終的にどちらがより白熱したリーグ展開を見せていくのかも非常に楽しみである。

 キックオフ直前、ふと横浜のゴール裏に目をやると大きく掲げられた様々な横断幕達の、そのド真ん中に”松田直樹”選手のフラッグが掲げられていた。いままでもこれからも俺たち仲間と共に戦ってゆこうぜ、という横浜サポーターの溢れんばかりの松田選手への愛情に感動した。

 試合はというと、1-3で川崎フロンターレの勝利。

 なかなか中盤でボールを収められない横浜は、ワントップの斉藤学 選手に上手くボールを届けることができず苦戦。フロンターレ守備陣の奮闘もあって、攻撃のチャンスを迎えても、ことごとく強引にサイドへとボールは追いやられた。特に川崎に今季新加入したセンターバック、角田誠 選手の存在感がひときわ光っていた。

 横浜が唯一得点したシーンは、センターバック中澤佑二選手から小林祐三選手へのロングボール1本から生まれたゴールだけ。試合全体を通し、パスを繋ぎ、組み立てながらの攻撃を一切封じられたかっこうだ。負傷離脱中の中村俊輔選手の影響の大きさを改めて感じる結果となった。
 川崎フロンターレは昨シーズンの攻撃サッカーを継続しつつ、適材適所の補強により攻守共により一層磨きがかかった印象。大久保嘉人 選手はキレキレで今年も調子が良さそうだし、新加入のDF車屋紳太郎選手も一目引く良い動きをしていた。

 試合を終えてみると、選手もサポーターもスタジアムも、みんないつもと変わらず一生懸命で、この日しか観れない試合に全力で挑んでいると感じた。
 一喜一憂の叫び声も、ヒートアップするピッチ上の競り合いも、何もいつもと変わらない、みんなの愛するJ1の白熱した試合がそこにはあった。
 この日スタジアムに向かうまでに僕が抱いていた妙な心配は不要だった。
 2ステージ制もそれはそれで、2015年のJ1をきっと盛り上げてくれるに違いない。
 そしてサッカー好きな僕らは、ガチンコの試合があれば否が応でも盛り上がり熱狂するし、そんな試合を相変わらず毎週楽しみにしてる。
 そう思えた。
 2015年、J1リーグ1stは始まったばかりだが、今年は今年なりに様々なドラマを楽しみに観戦していきたい。


 ちなみに、この日の試合でみた圧倒的な攻撃力に、もしや今シーズンは川崎フロンターレが好発進するのでは? と思ったがその後の1勝1分1敗。かたや横浜は2勝1分。4節終了時点で勝ち点7で並んでいる。
 開幕から4試合を戦い、4連勝したチームはないが、4連敗のチームもない。
 勝ち点10で浦和が首位を走り、9位の鳥栖の勝ち点は6。各クラブの力が拮抗しているからこそ、短期決戦の2ステージ制が盛り上がるに違いない。

 ドタバタが続いていたA代表も新監督を迎えて好発進。U−22代表もリオ五輪へ向けて良いスタートを切れた。
 春の訪れとともに、日本サッカーにも温かな追い風が吹いてきた。



構成:寺野典子

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●笹木勇一郎プロフィール/1988年1月8日札幌市生まれ。ヴォーカル&ギター。笹木ヘンドリクス名義で昨年「星のかけら」にてメジャーデビュー。現在は笹木勇一郎として精力的にライブと制作活動中。5月27日渋谷CHELSEA HOTELでの【TOKYO BOOTLEG MONTHLIVE】へ出演予定。公式HP「笹木勇一郎.net」