09_tatsuya_1FW第18回「24時間サッカーのために」



----------------------------------------------------------------------
 
先日の鳥栖戦で、ゴールを決めました。
今季2点目……。なかなか得点という形でチームに貢献できなかったので、格別な嬉しさがありました。最近少し意識してトレーニングをしていた、インサイドシュートでのゴールだったので、成果がでたのかもしれませんね。でも喜びもつかの間、もっともっとという想いが高まりました。

そんな僕のゴールを祝ってくれるメールがドイツから届きました。
ハセ(長谷部誠選手)からでした。今季からはフランクフルトでプレーしています。って、多分、僕が紹介しなくても、みなさんのほうが良くご存知かもしれませんね(笑)。

ハセは浦和レッズ時代の1年後輩の選手です。
でも、ハセ自身は“後輩”という意識がないんじゃないかな。僕のことを「達也」って呼びますし、僕自身もハセは後輩という風には考えてないから。同世代の友だちであり、ライバルです。
ハセが浦和にいたころは、いっしょに食事をしたりと、プライベートでも共に過ごす時間が長く、家族ぐるみの付き合いという感じでした。うちの子どもが産まれたときは、病院へ一緒に駆けつけたし、ハセが娘にミルクをあげている写真を見ると懐かしく思いますね。

ドイツへ移籍し、日本代表のキャプテンとして、ワールドカップで活躍し、ベストセラーを生み出すほどの影響力を持つようになったハセ。「真面目か!」とかって、イジられているのをテレビで見たり、キャプテンとしての凛々しい姿を目にする機会も増えました。でも、実際はまったく何も変わっていません。俺らの長谷部はずっと同じだなぁって思っています。
だからこそ、僕の中になる「ハセには負けられない」という気持ちも、出会ったころと同じなんですよ。

サッカーというかJリーグには、ほかのスポーツに比べると先輩後輩をあまり意識しないところがあるように思います。少しくらいの年の差なら、「●●くん」と呼び合う選手も多いです。そういうアットホームな雰囲気を僕は嫌いじゃないです。とはいえ、呼び方とは違った、厳しい部分をわきまえているというか、理解できていないとダメだと思います。仲が良いと馴れ合いは違うと思うので。

アルビレックスでは選手同士で食事に行ったり、ベテランの選手が若い選手を自宅に招いて食事をしたりということが結構多いチームだと思います。
僕自身も浦和時代から、チームメイトが自宅に来て、ご飯を食べることはありました。気がつくと、奥さんも娘が仲良くなっていて……なんてケースも。(濱田)水輝は、昨季の新潟時代、うちへ遊びに来る機会が増え、関係が深まったひとりです。今思うと浦和時代はそれほどいっしょにいる感じでもなかったのに。

ピッチを離れて、後輩やチームメイトといるときもサッカーの話はします。でも、その話題の中心は「あの選手すごいなぁ」とか、「あのプレーは素晴らしい」とか。サッカーファンとしての会話かもしれませんね。もちろん、プロサッカー選手として話すこともあります。たとえば。ディフェンダーのマイケル(ジェームス)やカズ(大野和成)に、「守るほうとしては、どっちのフォワードの動きが守りづらい?」というふうな細かい話をすることも。

後輩の選手たちが、僕のことをどんな風に思っているかは、わからない。そして、僕自身もどういう先輩でありたいかなんて、考えることありません。
ただ思うのは、「サッカー中心の生活をしてほしい」ということ。サッカーができる時間は限られていることに、僕は気がつくのが遅かったと思っているんです。たとえば、外食するときに、明日の練習のことや次の試合のことを逆算するとか……そういう配慮が足りなかったなと。だから、若いときにそういうことに気づいてもらえたら、良いなぁと思いますね。

僕は毎日練習開始の1時間40分くらい前にクラブハウスに到着します。
そこから、ストレッチをやって、身体を温めて、補強のトレーニングをやったり、テーピングを巻いたりして、練習に備えます。若いころは、そこまで練習前の準備に時間を使う必要もありませんでした。練習後だって、身体のトリートメントのために時間を使います。
そういう作業は、面倒だと感じるよりも、「この準備があるから、プレーできるんだ」という風¥にとらえています。ピッチ以外で費やされる時間もまた、サッカーを楽しむために欠かせない時間です。

年齢を重ねて、経験を積んだベテラン選手。
僕もそう呼ばれる立場になったけれど、自分のことをそんな風には感じられなくて。
まだ足りないものがたくさんありすぎるから。

シーズンも残る数試合。少しでも足りないものを得られるよう、最後まで走りたいと思います。

【構成/寺野典子】