第6回 小林慶行さんと。 パート3「いよいよ日本対コートジボワール戦」
 
hendrix26月15日に下北沢のカフェ、Seven Colorsで行われる「W杯を見たい! 聞きたい! 歌いたい! feat.笹木ヘンドリクス&Football Weekly」開催を記念して、スペシャルゲストの笹木ヘンドリクスと小林慶行さんの対談を3回に分けてお届けしています。
最終回のパート3は5回目のワールドカップを迎える日本代表について。

※イベントのチケットはおかげさまで完売いたしました。



青山はJリーグで一番の
ボランチだと思っている


笹木 W杯メンバー発表以降、国内とアメリカで親善試合3試合を戦い、3連勝で本番を迎えられるのは、選手にとっても自信になりますよね。
小林 自分たちの攻めきるサッカーで、結果が出たのは良かったけれど、でもアメリカでの2試合で、先制点を許しているというのは、大きな課題として残ったんじゃないかな。後半に逆転できたのも相手の運動量が切れたから。いかにいい試合の入り方が出来るかというのが、W杯でも鍵になるはず。
笹木 怪我人がいたことや、コンディション調整という意味で、多くの選手が起用され、チームとしてオプションが増えたような気がします。
小林 そうだね。ザンビア戦では途中出場の大久保を最初は1トップで使い、ゲーム中に右MFへとスライドさせたりね。そして、同点にされた直後に、投入した青山が結果を残した。
笹木 青山選手のファーストタッチのパスが、大久保選手のアシストになったシーンですね。
小林 実は僕、青山はJリーグで一番いいボランチだと思っているんだよね。この4,5年くらい前から。
笹木 実際、対戦されて実感した青山選手の魅力とは?
小林 広島であれば、佐藤寿人というトップの選手を常に見続けているところ。だから、一発のパスで決めちゃえる。そのパスもすごく精度が高いしね。ボールの回転や、高さ、受け手が受けやすいボールを蹴ることができる。視野も広いから遠くの味方も見逃さない。同時に動き続けることができるしね。そしてディフェンスもがっつりいける。総じてテクニックレベルも高いからね。
笹木 Jリーグ2連覇の原動力?
小林 そう思うよ。広島には良い選手がいて、それらの力が結集しての2連覇だと思うけど、やっぱり青山の存在はデカいと思うな。
笹木 代表チームのキーマンをあげるとしたら、どの選手ですか?
小林 それはやっぱり遠藤。遠藤がいるか、いないかで、チームがコロッと変わってしまうなという印象はずっとある。確かに最近は、90分やれるのか? という風に感じる試合もあるけれど。でも、遠藤は試合のリズム、テンポが変えられる選手。日本が目指すサッカーをするなら、そういう選手がいないと厳しいと思う。そうじゃないと攻撃が一辺倒になっちゃうから。
 自分たちがボールを持って、ゲームの主導権を握りながら、同時にテンポも変えて攻撃できる。そして、本田や香川を活かすという意味でも遠藤がいないと難しい。遠藤のわざと遅い球で、相手を引き付けてから、ポンとパスを入れる……そういう冷静かつひょうひょうとしたプレーは、周りがバタバタしているときに、ゲームに落ち着きをもたらす。そういう能力で、遠藤は飛びぬけた存在だからね。


オプション豊富な攻撃陣
起用のポイントは、メンタル


笹木 1トップについては、考えますか? 親善試合では柿谷選手が2試合先発し、大迫選手の先発は1試合のみですが。
小林 あと、大久保も1トップで起用していたよね。
笹木 岡崎選手もクラブでは1トップで結果を残しているし、4年前の大会では本田選手が1トップでしたしね(笑)。
小林 裏へ抜けていくタイプ、スピードで勝負するタイプ、クサビを受けてボールを収め処になるタイプと、選手それぞれに持ち味が違うから、手ごまの種類は多い。対戦相手や試合状況によって使い分ける可能性もあるだろうね。でも、点を獲る選手は、やっぱりそのタイミングで乗っている選手がいいのかもしれない。Jリーグで得点を量産し、W杯メンバー入りした大久保もそうだけど、やっぱり結果が残せているときの選手は、メンタルの状態がとてもいいからね。
笹木 コスタリカ戦でゴールは決めたけど、そう考えると、柿谷選手がなんだか遠慮気味にプレーしているような気がして……。
小林 そうだね。Jリーグでゴールを決めていない分、メンタルの状態が良いとは言えないのかもしれない。前線でボールを受けても、自分がシュートを打つというよりは、本田に落とすというポストプレーを意識しすぎているような感じもあったし。
笹木 今季はセレッソでもフォルランに気を使って、お膳立てしているようなプレーが多いように感じるんですよね。
小林 だから、柿谷は優しい性格の持ち主なんだなって思うよ。それに結果が出ていないから、自信無さ気な印象が漂ってしまうのかもしれないしね。ただでもゴールを決めたことをきっかけに変わっていってほしいね。
笹木 そういう意味では、ドイツでプレーしていた大迫選手のほうが、堂々としているというか……まあでも、ゴールは決められなかったけど。
小林 やっぱり、海外でゴールという結果を出しているからね。
木 大迫選手は所属クラブでトップ下でも起用されることもあった。大迫選手のトップ下もありなんですかね?
小林 結局、本田を3試合で90分起用したから、トップ下のバックアッパーが明確ではないけれど、香川や清武、大久保や大迫と、プレーできる可能性のある選手はたくさんいるのも事実。1トップ同様に状況に応じて、チョイスしていくんだと思うよ。もちろん、トップ下のファーストチョイスは本田で間違いないけどね。

 
自分たちのサッカーを
やりきってほしい


笹木 「世界で勝つためには、個の力が大切だ」という本田選手や長友選手の言葉が印象的でしたが、でも、ザッケローニ監督は「組織で戦おう」とよく言っていますよね。
小林 昔から、日本人が海外のチームと戦うとき、身体能力に差のある相手と対等に競り合っても勝てないから、ボールを速くまわしたり、判断を速くすることが求められ、同時に攻守にわたって、数的優位を作ること、組織としての戦いが重視されてきたと思うんだよね。
 でも、最終的に世界のトップに勝っていこうと考えたら、最終的には1対1の局面で勝てないと、勝利は手に出来ない。そういうことを欧州のクラブでプレーしている選手は、肌で感じているんだと思う。彼らは毎日クラブで1対1で、勝負し続けているわけだからね。
笹木 そうですよね。欧州のクラブと日本代表は違いますからね。
小林 だから、本田や長友が、「個を強くしなくちゃいけない」という風に語るのは、組織で戦う日本らしいサッカーをやったうえで、さらに個の力が必要だという感じだと思うよ。チームとして良い距離感を生み、連動性のあるチームプレーができたとしても、それだけでは、上はめざせないと。
笹木 グループステージ突破以上の結果ということですよね?
小林 グループリーグ突破が目標なら、組織力だけでを磨けば、達成できるのかもしれないけど、優勝を目標に掲げる選手にとっては、それだけでは目標は実現できないと考えるのは当然のことだと思うよ。
笹木 いよいよ初戦のコートジボワール戦が迫ってきました。ヤヤ・トゥーレの怪我の回復が遅れているような報道もありますね。
小林 ヤヤ・トゥーレはチームの心臓だからね。いるか、いないのかは大きいけど、そういう相手の状況以上に、日本は自分たちのサッカーにこだわり、それをやりきる大会にしてほしい。
笹木 本当に楽しみです。いろんな話を聞きながら、代表を応援できる。小林さんといっしょに下北沢で、試合が見られるということにも僕はとてもワクワクしています。


<構成/寺野典子>

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●笹木ヘンドリクス/1988年1月8日札幌市生まれ。ヴォーカル&ギター。" ヘンドリクス " メンバーたちと共に、ライブシーンで話題を集めている。ロックの王道を背骨にしながらもあらゆる“グッドテイスト”を欲張りに取り込こもうとする雑食系ギターサウンド。言葉が突き刺さる歌とメロディラインがインパクトを残してくれる。6月11日、シングル「星のかけら」でメジャーデビュ―決定! 東京、名古屋、大阪、札幌フリーライブとサイン会も行われます。ライブ情報などは、笹木ヘンドリクスOFFICIAL SITEへ。


●小林慶行/1978年1月27日埼玉県生まれ。桐蔭学園、駒沢大学を経て、1999年東京ヴェルディでプロデビュー後、大宮アルディージャ、柏レイソル、アルビレックス新潟に在籍。2011年にはJ1通算300試合出場を達成。2013年に現役を引退し、指導者や解説者として活躍。2014年6月12日、ベガルタ仙台のトップチームコーチへの就任が発表された。