キリンカップは全3試合が0−0、よって史上初の3カ国同時優勝となった。大会にとって不名誉な結果だね。表彰式時にはすでにペルー代表が帰国していたというから、皮肉なものだ。

ペルー戦、チェコ戦で、果たして何を得ることができただろうか。ザッケローニ監督はW杯予選への完全なテストマッチとして割り切り、新しいシステム、新しい選手を試したが、どちらも不完全燃焼だった。監督自身は満足したことを強調しているが、僕の目にはこのシミュレーションが失敗だったと映る。そればかりか、ポジションの修正もせず――たとえば本田はほとんどボランチと言える位置でプレーしていた――コンディションの悪い両サイドにテコを入れることもしなかった。今回の大会はザッケローニ監督に対する「?」のはじまりとなったんじゃないかな。

詰め掛けた大観衆からも、試合後にブーイングの類は起こらなかったけど、ここで拍手しているようでは、2014年W杯はない。そこをもっと理解する必要があると思う。しかしこれに関しては、メディアの責任が大きいね。スター報道に邁進するメディアは、煽ることばかりに力を入れ、サッカーそのものに迫ろうとしない。その結果、チェコ戦には6万5000人を超える大観衆が集まった。興行的には大成功だろう。けれど、諸手を挙げて喜んでいいものではない。W杯予選はそんなに甘くないよ。冷や冷やで優勝したアジア杯の栄光は、いったん忘れるべきじゃないかな。

こうした意味を踏まえると、今回のキリンカップはなるべくしてなった結果と言えるかもしれないね。興行的な空気が、生ぬるい試合を生んだのだ。キリンカップは1978年から続いている歴史ある大会だ。テストすることが悪いといっているわけではない。全力で優勝を狙いにいく、勝負に固執する中でテストして初めて意味があるのだと思うよ。

こういう試合になるのだったら、ここにJリーグの日程を詰めて、やっぱりアルゼンチンへ行けばよかったんじゃない? そう思いたくもなるよ。