「気になった日本の選手はいますか?」

記者会見にて日本人の記者が、対戦国の監督にそう問いかけると、大抵の場合、社交辞令も含んだ多くの背番号が出てくる。しかし、この日は違った。

「試合前は本田圭佑に注目していたが、(それよりも)今日は我々の守備が良かった」と、ペルーのマルカリアン監督はインパクトのある選手はピッチに見当たらなかったと返答した。一番のハイライトが、本田圭や長友が交代出場した時という、可もなく不可もない寂しい内容にそれは表れている。日本の選手たちもそれは感じており「上手くいかなかった」と認めている。

しかし、ザッケローニ監督はこう付け加えた。「それは想定の範囲内だ」。というのも、「試合の目的は、新システム、そして、新たに招集した選手たちが試合でどこまでできるかという部分。そのデータ集めだ」と語ったように、今日の試合は結果や内容を度外視していた。キリンカップというタイトル獲得よりも、チームの引き出しを増やす“テストマッチ”としてザッケローニ監督は活用している。

たとえば、5バック気味になった点は、元々4バックのサイドを務める安田と西を、3−4−3の4のサイドで、しかも初招集で同時に使ったため、仕方のない部分もある。それでもトライしたのは、彼らが適応できるかW杯予選までに見極めるためだ。

3−4−3に固執しているわけではない。「どこかで3−4−3が活きればいい。システムには短所と長所があり、絶対的なものはない。いかに活用できるかが重要で、バルセロナがまさにそうだ。バルセロナは4−3−3だから強いのではなく、4−3−3を最大限に活用しているから強い」(ザッケローニ監督)。

試合の内容自体は残念なものだったが、トライをしてテストをすれば、時として、こういった試合は起こる。それよりも、結果を求めて試合に臨む場をどこにするのか。結果を求める場を作らなければ、テストも意味を成さないものになってしまう。


◇著者プロフィール:石井紘人 Hayato Ishii
サッカー批評、週刊サッカーダイジェストをはじめ、サッカー専門誌以外にも寄稿するジャーナリスト。中学サッカー小僧で連載を行い、Football Referee Journalを運営している。各情報はツイッター:@FBRJ_JP。著作にDVD『レフェリング』がある。