いよいよ今年も終わりに近づいている。このコラムも、今回が年内最後だ。
サッカー界の今年を振り返ってみると、総じてあまりいい一年ではなかったといえるね。
日本代表はW杯出場を決めたけど、正直なところこの「結果」については可もなく不可もない。アジアのレベルやそれに比例しない出場枠の多さといったことから、出場権獲得の結果自体についてとやかく言う時代ではなくなっている。

ではその過程、あるいは内容についてどうだったかと考えれば、オーストラリアには差をつけられたことが証明されてしまったし、アウェーで強豪と戦った親善試合では、やはり弱さを露呈して完敗している。国内の親善試合は例年どおり、判断材料にならないぬるいものばかりだった。
代表以外に目を向けても、ACLはファイナルまで進むことができなかったし、大分や東京Vといったクラブは存続の危機にさらされている。

ネガティブなことばかりをいっているようだけど、事実だからしょうがない。サッカー人気の低下と、それに伴う閉塞感は、サッカーが好きな人なら誰もが感じているはずだろう。

これまでも散々述べてきたとおり、2002年のW杯バブル以降、日本のサッカー、特に日本代表はビジネスの道具としての色合いを強められ、日本サッカーはその本質からどんどん離れていった。密室ですべてが決まる独裁政治、追求能力の低いマスメディア、などといった要素も加わり、明らかに良くない方向へ突き進んでしまった。
4年サイクルで同じ過ちを繰り返していくうちに、日本サッカーを取り巻くエネルギーはどんどん弱まっていった。

大分や東京Vの件もその一例。さらに来年からはサテライトもなくなるみたいだね。理由はお金の節約だ。理念はどこへいってしまったんだろう。現チェアマンは自分の任期中の経営しか考えていないんじゃないか。

希望を持つとすれば、南アフリカW杯本番での、日本代表の大躍進しかない。それこそベスト4にでもなれば、日本サッカーの環境はがらりと変わるだろうね。しかし、現実的に考えると、それは無理だ。

グループリーグで敗退したとしても、胸を打つような試合をすればいい。でもそれすらなくて、ドイツのときのように消化不良で終わったとしたら……。

そういう意味で、2010年は大きなターニングポイントになると思っている。なんとかつないできた2002年バブルの残り香も、ついに消えてしまうだろう。落ちるところまで落ちて、そこで変化するかしないか。変化できるかできないかの、ターニングポイントだ。来年はサッカー協会の人事の年でもあるしね。

ポジティブに言い換えれば、2002年から続く悪い流れを断ち切るチャンスでもあるわけだ。そして、変化が必要とされた時に、メディアやファンにその体力があるのかどうか。

日本サッカーの真価が問われる年といっていいかもしれないね。それが、日本サッカーの2010年。僕は、覚悟ができているよ。皆さんはどうかな?

来年もまた、このコラムで会いましょう。(了)


セルジオ越後 (サッカー解説者) 
18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中


●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中