U−17W杯が開催されている。29日現在、日本はブラジル、スイスに負けて2連敗。どちらも1点差で競り負けての結果だけど、育成年代において勝った負けたは大きな問題ではない。重要なのは、何のために育成年代のチーム、大会が存在しているかということだ。その点において、日本の現状には苦言を呈さずにはいられない。

絶えず優秀な選手を生み出している世界の国々は、1人でも2人でも、とにかく強烈な能力を持った選手が出てくればいいという発想だ。実際に、たとえばブラジルはユース年代の大きな大会で優勝しなくても、数年後には超強烈な個性が頭角を現し、世界のトップレベルで活躍する。

それに対し日本は、平均点の高い選手たちをセレクションし、チームの型にはめていく。つまり個よりもチーム。世界とは逆の発想である。いいかげんなマスコミも、一番大事なことを忘れて「○○世代」などと妙なネーミングをつけ、結果に一喜一憂する。こんなことをもう何年も繰り返しているから、結果も出なければ個人も出てこない。育成に費やしている金額はおそらく世界でもトップクラスであるにもかかわらずだ。

これは日本人選手のポテンシャルの問題ではなくて、構造的な問題だよ。これについて僕はこれまでいろいろな提言をしてきた。たとえば、「補欠をなくす」というのもその一つ。「6(小)・3(中)・3(高)」というカテゴライズをやめて、各年代でリーグ戦を行うんだ。出場できる試合が増えることで、ゲームの中でいろいろな経験が積めるようになる。

日本のスポーツは基本的に学校体育であり、文部科学省の管轄下にあるから、このカテゴライズを動かすのは相当難しいだろう。でも、世界で勝ちたければ、今の構造は変えなければならない。これまで結果が出てないのだから、当然だよ。

世界を見れば、17歳、18歳は大きく羽ばたく歳だ。トップリーグに現れ、サポーターを熱狂させる。翻って、日本はどうだろうか。原口や宇佐美だけでなく、もっともっと出てくるべきだ。

スペインのクラブのスカウトは、12歳以下のダイヤの原石を、それこそ世界中で血まなこになって探している。日本の高校生年代の選手たちは、世界からも相手にされず、Jリーグにも出られない。これでは、差は縮まるどころか開く一方だよ。

構造を変えないといけない。同じ過ちを繰り返してちゃダメだ。それでベスト4になれるほど、サッカーは甘くないのだから。(了)


セルジオ越後 (サッカー解説者) 

18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中